選挙事務を巡る深刻なトラブルが、また兵庫県西宮市で起きた。18日の県知事選で、投票箱に入っていた投票用紙が、投票した人数より18枚も多いことが開票中に判明。19日未明まで職員が票の数え直しに追われたが、原因は特定できなかった。近年、選挙のたびにミスが相次ぐ西宮市。15年で少なくとも18件のトラブルがあり、市選挙管理委員会の担当者は「万全の準備をして臨んでいるつもりなのだが…」と頭を抱えた。
「係の皆さん、集まって下さい」。開票が9割以上終わった午後11時半ごろ、市選管事務局が枚数計算係の職員らを呼び集めた。「18票合わない。数え直しです」。唐突に告げられた職員たちだが、ざわつくこともなく速やかに席へ着き、既に集計を終えていた約16万票を再び計数器にかけ始めた。
「スムーズでしょ。トラブルに慣れた裏返しです」。記者席の前を通りかかった違う係の男性職員が、自嘲気味に語った。
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投票用紙の誤交付で二重投票を誘発、いったん確定した投票者数の訂正、在外選挙人の計上漏れ…。西宮市では近年、ミスやトラブルが毎回のように起きている。ほとんどは不注意や認識不足が原因だ。
そのたびに市選管は「一つ一つの作業を確認しながら、確実に行うように」と指示。経験の浅い職員に研修会を開いたり、作業内容を細かく記したチェックシートを作成したりしたが、またトラブルは起きた。
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照明が半分落ち、薄暗くなった未明の開票所。未使用の投票用紙を袋から取り出し、計数器にかける音が響いた。空調も切れ、扇子で顔をあおぐ職員もいた。
「考えられる可能性は全てつぶした。もう確定させたい」。19日午前1時半ごろ、県選管に2度目の打診をすると、返ってきたのは「やむを得ない」という言葉。「持ち帰り・その他」にマイナス18票を計上するという異例の処理で帳尻を合わせ、予定の約2時間遅れで票は確定した。
市選管の尚山和男事務局長は19日、報道陣に「なぜこんな状況になったのか。ミスの原因が全く分からない」と困惑の表情を見せた。(山岸洋介)
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