怖いけど、見たくなる-。芸術と恐怖との関係性を考える絵画展「横尾忠則の恐怖の館」(神戸新聞社など主催)が18日、神戸市灘区原田通3の横尾忠則現代美術館で開幕する。17日の内覧会では、お化け屋敷や廃虚のように演出した館内で、約80点をお披露目した。
世界的に活躍する美術家、横尾忠則さん(85)にとって「あの世とこの世」や「闇」は重要なテーマで、西脇市で育った幼少期の体験に根差す。本展は作家の根っこにある感覚を「恐怖の館」に具現化した。
「キャー」。叫び声が響く中、暗い迷宮のような通路を進んで鑑賞する。横尾さんが手がけた講談社版「江戸川乱歩全集」の挿絵20点が拡大して飾られ、妖しげに浮かび上がる。
廃虚に仕立てた展示室には、ガスマスクなどの備品類が並ぶ。「黒いY字路」シリーズの1作目など「闇」が主題の絵画が引き立ち、濃密な「死」の気配が漂う。展示室以外の動線でも、事件現場のような驚きの仕掛けが待っている。
来年2月27日まで。月曜と9月21日、12月31日、来年1月の1日と11日は休館(9月20日、来年1月10日は開館)。一般700円ほか。台風などにより休館の場合もある。同館TEL078・855・5607
(小林伸哉)