消費者庁と兵庫県は2日、無料通信アプリLINE(ライン)を使った消費生活相談の実証実験を始めた。2022年4月の成人年齢引き下げで、18、19歳が架空請求や悪質商法などの消費者トラブルに遭う危険性が高まることが懸念されており、電話相談に抵抗感を持つ若者が利用しやすい環境を整え、活用を促す。同年1月29日まで実施する。(大島光貴)
「ひょうご消費者トラブルLINE相談」。寄せられた相談には同庁委託先の相談員が対応し、独立したチャットシステムでやりとりする。解決に向けた事業者との交渉を手伝う必要があるなど、複雑な案件については県立消費生活総合センター(神戸市中央区)が引き継ぎ、電話や来所の相談に切り替える。
県によると、20年度に県内の消費生活センターに寄せられた苦情相談は、19歳が279件(平均支払額約9万5千円)、20歳が489件(同約30万9千円)と、成人すると大幅に増える傾向がある。法定代理人の同意を得ずに結んだ契約は取り消せるという未成年者の権利が行使できなくなるためだ。
さらに、成人年齢が18歳に引き下げられると、進学や就職で親元を離れる時期と重なり、若年層の被害拡大が想定されるという。県消費生活課は「仕事などで平日昼間に相談しにくい人にも使ってほしい。泣き寝入りせず、気軽に相談してもらえたら」としている。
相談は無料で、火-土曜の午後4~8時(祝日や年末年始は除く)。公式アカウントの「友だち登録」が必要。県は啓発用のチラシや名刺型カードを県内の高校や大学などに計約28万枚配布し、LINE相談の周知を進めている。