総合

年賀状にも「働き方改革」の波? 企業に広がるはがき取りやめ 環境配慮も背景、メールやアプリ活用

2021/12/26 06:00

 企業の間で年賀状を取りやめる動きが広がりつつある。新年の恒例行事が徐々に下火となっている背景には、持続可能な開発目標(SDGs)や働き方改革があるという。SDGsに対する意識の高まりから、各社はペーパーレス化を推進。さらに、新型コロナウイルス禍を理由としたテレワークの普及も年賀状の見直しに拍車を掛けているようだ。(末永陽子)

 12月上旬、西宮市の自営業男性(60)の元に、複数のはがきが届いた。いずれも年賀状廃止を知らせる内容で、それぞれに「環境負荷の軽減」「業務の見直し」などと理由が記されていたという。

 近年はお中元やお歳暮も縮小傾向だったため、男性は「虚礼廃止の流れ」と受け止めた上で、「年賀状は取引先との一年の仕事を振り返るいい機会なので、残念」と寂しげに語る。

 食品卸のトーホー(神戸市東灘区)は2021年用年賀状から送付を控えている。広報担当者は「消費者にも環境問題への意識が高まり、虚礼廃止の時代の流れもあった」と説明。代わりにメールなどで対応している。

 22年用の年賀状送付を取りやめるのは、化学品メーカー、MORESCO(モレスコ、神戸市中央区)。環境への配慮などが理由だが、年賀状の作製は送り先の確認作業など手間もかかるため、「業務の効率化にもつながる」と話す。

 兵庫県内に拠点を持つ部品メーカーも廃止を決めた。過去には出す年賀状が数万枚単位になる年もあったが、テレワークの拡大などで社員の負担にも配慮した。年賀状を受け取っても返さず、メールなどを活用する方針という。

 播磨エリアの中小メーカーは夏の暑中見舞いに続き、年賀状を廃止した。毎年最低でも400枚を用意していたが、昨年、複数の取引先企業から暑中見舞いや年賀状を廃止する知らせが届いた。「大手の動きにうちも続いた」と役員男性(74)。「環境保護が一番の目的だが、経費削減の効果はやはり大きい」と本音も明かす。

■年賀はがき発行枚数最少

 メールや無料通話アプリなどの普及に伴い、年賀状の発行枚数は年々減少している。

 日本郵便は15日、22年用お年玉付き年賀はがきの受け付けを始めた。当初発行枚数は前年比6%減の約18億3千万枚と11年連続で減り、記録が残る04年用以降で最少となった。コロナ禍で企業が広告用を抑えている事情なども影響したという。

続きを見る

あわせて読みたい

総合

もっと見る 総合 一覧へ

特集