新型コロナウイルスの感染不安で登校を控える子どもの学習の支えとなるのがタブレット端末だ。兵庫県教育委員会によると、県内すべての公立小中学校で端末の分配が完了。ただ、授業のライブ配信など、実際の活用は自治体や学校でばらつきが目立つ。
「面積を考えてみよう。オーケー?」。川西市立川西南中学校で9日、加藤大介教諭(31)が画面の先の2人に話し掛けていた。いずれも感染不安のため、自宅で学習しているという。端末を動かして板書を画面に映しつつ、同時並行で教室にいる29人にも教える。
この日、同校では全校生511人のうち102人が感染不安で登校しなかった。加えて家族の発熱による自宅待機や学級閉鎖の生徒もいて、登校率は約65%。受験を控える3年生は、出席が3分の1のクラスもあった。
学級閉鎖中のクラスでは、基本的にオンライン授業を実施している。西山晋司教頭(49)は「画面越しでは習熟度が測りにくい」と課題も挙げつつ「学校が止まっても授業は止まらない。先生が自宅からでも対応は可能だ」と話す。
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川西市はオンライン授業の環境整備に力を入れる。一方で、県内の多くの自治体はいまだに手探り状態だ。宝塚市教委の担当者は「全学校で授業のライブ配信に対応できているわけではない」と明かす。
弟が通う幼稚園が学級閉鎖となったため、登校を控えた神戸市の小学生の母親は「学校に『ライブ配信は難しい』と言われた。タブレットはこういうときのためのものでは?」と首をひねった。
神戸市教委によると、1月末時点で小中学校の約9割でオンラインの学習支援を実施しているというが、ライブ配信はクラス全員の同意が必要で、学活や資料配布のみの学校もある。市教委は「保護者のイメージと実際にできる支援が食い違う例もある」と話す。
また、「小学校低学年が画面を見続けられるのか」(明石市)や「長時間のライブ配信は通信費が跳ね上がるのでは」(姫路市)という懸念もあり、県内各市町は紙教材や端末内のデジタルドリルを活用した自宅学習との併用などを模索している。(中島摩子、広畑千春)
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