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ビニールハウスでイチゴを手入れする篠田重一さん=西脇市明楽寺町
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ビニールハウスでイチゴを手入れする篠田重一さん=西脇市明楽寺町

 世界的に原油価格が高騰し、農家や漁業者が悲鳴を上げている。兵庫県内でも、イチゴを育てるハウスの暖房や漁船の燃料、漁具など影響は広範囲に及ぶ。新型コロナウイルス禍の需要減が続く中、ロシアのウクライナへの侵攻に伴うさらなる価格上昇に懸念が強まっている。(森 信弘)

 同県西脇市の篠田いちご園では、ハウス内の温度を維持するため、7度を下回ると暖房が作動する。経営する篠田重一さん(74)は「暖房は昨年12月ごろに使い始めたが、この冬は寒い夜が続き、使用時間も長かった」と話す。

 暖房に使う重油代は、昨季は3月までに約45万円。産油国の減産で今季の価格は高止まりし、昨季より20万円近く余計にかかりそうという。気温が下がるとイチゴは休眠して育たず、暖房は不可欠。コロナ禍でイチゴ狩りの利用客は減ったままだが、1月から料金を1割、200円の値上げに踏み切った。

 ところが、ウクライナ侵攻で原油価格の高騰に歯止めがかからず、影響拡大が懸念される。4月にはイチゴ容器の値上がりも予定されるが、篠田さんは「料金をさらに上げるのは、客足が引きかねず怖い」と漏らす。

 価格高騰は、船を使う漁業にも影を落とす。加古川市のノリの養殖業者「大●(おおはま)」の大●圭右さん(35)は「原油高の影響はめちゃめちゃ大きい」と声を上げる。収穫期の今は、毎日乗る漁船に軽油を、ノリの乾燥機に重油を使う。

 重油も軽油も昨年と比べて3割高く、ロープなど石油由来の漁具も値上がりしているという。「だからといって、ノリの価格は入札で決まり、価格に上乗せするのは難しい」と嘆く。

 播磨灘のイカナゴのシンコ(稚魚)漁は、原油高の上に極端な不漁というダブルパンチとなった。今月1日の解禁日から播磨灘で漁を続ける育波浦漁協(淡路市)の片山守組合長(59)は「漁獲量が少なくても燃料代が安ければ、その分、利益になるのだが」とこぼす。

 シンコ漁が終われば、5月中旬にもシラス漁が始まるが、コロナ禍で外食をする人が減り、魚介そのものの需要が減っている。「このまま原油価格が下がらなければ、沖に出ることをあきらめる漁師も出かねない。死活問題だ」と危機感を募らせた。

 ●は浜の異体字

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