神戸市は8日、家族の世話に日常的に追われる若年層「ヤングケアラー」について、相談窓口を通じて1年間で69件に支援を実施したと発表した。うち、当事者が小中学生のケースが39件で、半数以上を占めた。本人や家族と面会できたのは25件にとどまるなど、直接の支援が難しい課題も明らかになった。
市は昨年6月1日、全国の自治体で初めて「こども・若者ケアラー相談・支援窓口」を市立総合福祉センター(同市中央区)に開設。社会福祉士や公認心理師などの資格を持つ職員が対応に当たる。
市によると、今年5月末までに受けた相談は計176件。うち匿名や市外からの連絡などを除いた69件についてサポートを行った。
具体的には、家族のケアを担い不登校傾向だった小学生の負担軽減のため、ヘルパーの利用回数を増やした。認知症の祖父母を世話する20代の社会人には、施設への入所を検討してもらうなどした。
69件の当事者の内訳は、小学生17人▽中学生22人▽高校生13人▽大学生・大学院生6人▽社会人11人。本人の相談はわずか9%で、学校などの関係機関からが約8割を占めた。
また、家族の世話を「当たり前」と認識していたり、行政に不信感があったりして、44件で本人や家族と面会できなかった。久元喜造市長は8日の定例会見で「支援の難しさが浮き彫りになった。本人につながる関係機関との情報共有を大事にしたい」と話した。(名倉あかり)