JR山陰線の兵庫県内区間、梁瀬(やなせ)(朝来市)-居組(いぐみ)(新温泉町)間で、線路内への動物の進入が原因で発生した遅延件数は2021年度に約400件に上り、10年前の1・8倍に伸びていることがJR西日本福知山支社(京都府福知山市)への取材で分かった。動物との衝突事故は「レールキル」と呼ばれ、同区間では常態化。9割以上をニホンジカが占める。ダイヤの乱れに加えて乗務員らの負担も増している。柵設置が予防効果を得やすいが、新型コロナウイルス禍による収支悪化の余波で足踏み状態となっている。
■保線作業の負担増
「シカとの接触は毎日起こる。ここ3年ほどは頭数が明らかに増え、出没場所の予測がつかなくなっている」。同支社の獣害担当者は声を落とす。管轄する兵庫県、京都府の各線では動物との接触やニアミスが10年に初めて千件を突破。その後も高い水準が続き、19年から3年連続で再び千件を超えた。
福知山支社と神戸支社の管内では山陰線が群を抜いて多い。21年度に同線の園部(京都府南丹市)-東浜(鳥取県岩美町)で10分以上の遅延が生じた事案は271件。ほかは、姫新線(姫路-上月)=51件▽福知山線(新三田-福知山)=47件-など。
福知山支社によると、衝突時は緊急停止を行い、乗務員が車外に下りて車両の異常を確認。線路上にシカの死骸がある時は棒状の道具で線路外に移動させる。回収は保線作業員が行う。乗客がけがをしたケースはないが、衝突が原因でブレーキの故障やレールの留め具が緩んだ事例があったという。
国土交通省によると、動物が原因で30分以上の遅れが生じたケースは20年度に全国で1100件を数え、05年度比で10倍に伸びた。輸送障害の原因では「飛び込み自殺」「踏切内の立ち往生」を上回り1位だ。
兵庫県内では近年、但馬北部でシカの密度が高まり、農林業被害が沿岸部まで拡大。地元は捕獲に力を入れているが、山陰線は沿線に道路や集落がない区間も多く、狩猟者が入りにくい側面がある。
■柵増設は見合わせ
香美町の担当者は「そもそも鉄道敷地内の問題に行政は手を出しにくい。国の獣害対策は農林業分野が中心。生活被害を防ぐ事業は町単独で取り組むことになり壁が高い」とする。
JR西はこれまで、養父市や豊岡市内の山陰線で、シカの進入を防ぐ鉄製の柵を計9・2キロにわたって設置。増設を計画していたがコロナ禍で経営が悪化する中、見合わせとなった。シカが嫌う音を出す機器も18基置いたが、決定的な効果は得られていない。
(小林良多)
◇
■対策は沿線全体で、公的資金検討も
兵庫県森林動物研究センター(丹波市)横山真弓研究部長の話 シカの出没は運行の安全や利便性に関わる問題だが、事業者単独では解決が難しい状況。線路内に限らず、沿線全体でシカの密度を下げなければならない。問題を放置せず、公的支援も検討すべきだ。
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