暑い日が続いている。新型コロナウイルスの感染予防に気を配りながら、たまには、涼を求めて少し足を延ばしてみたい-と思いませんか。記者のお薦めは兵庫県姫路市の北端、夢前町エリア。夏らしいスポットもにぎわっていると聞き、夢前をぐるりと巡った。(森下陽介)
■「川床」気分で弁当を(農家レストラン「且緩々」)
中国自動車道夢前スマートインターチェンジから、車で夢前川に沿って北上すること15分。同市夢前町山之内にある農家レストラン「且緩々(しゃかんかん)」が、夢前川にテーブルを置き、食事を楽しんでもらう「川床」営業で人気を集めている。
昨年から始めた夏限定の試み。水かさの低い場所にパラソル付きのテーブルが並び、家族連れらが足首まで川に漬かりながら弁当を食べる。冷たいせせらぎをじかに感じることができる。
弁当は、地元産の野菜をふんだんに使い、ハイビスカスのまぜご飯や米粉の天ぷらなど工夫を凝らしたメニューがそろう。藤岡真路店長(29)は「自然の中で味わう料理は一層おいしい。食事後の川遊びもお勧め」とアピールしている。
午前11時半~午後2時。弁当1個2千円。現在、お盆休み中で15日から営業を再開する。且緩々TEL079・338・0510
中国自動車道の夢前インターから県道67号を南へ進むと、インスタ映えするかき氷がある。イチゴ1パック分を凍らせて削った真っ赤な「まるっぽかき氷」。イチゴを栽培する夢前夢工房(姫路市夢前町宮置)の直売所「夢街道ファーム67」で9月ごろまで販売している。
■イチゴ1パック丸ごと凍らせて(夢街道ファーム67)
夢工房は冬から初夏にかけて栽培。夏の暑い時期にも自慢の果実を味わってもらおうと考案した。イチゴのソースと生クリームもトッピングし、自然な甘みとさわやかな酸味が口いっぱいに広がる。
直売所の従業員は「イチゴ農家ならではのかき氷。ぜひ、おなかをすかせて食べに来てほしい」と話していた。
1100円。持ち帰りもできる。夢前町産のパッションフルーツを練り込んだソフトクリームも販売する。夢街道ファーム67TEL079・337・2100
■頂上のスリルにゾクゾク(雪彦山の地蔵岳)
且緩々の北には、関西有数のロッククライミングの名所として知られる雪彦山(標高915メートル)がある。中でも、垂直にそびえ立つ高さ約100メートルの岩山「地蔵岳」の頂上に立つと、スリル満点。強く吹き上げてくる風を受け、ひんやりすること間違いなしだ。
雪彦山は古くから修験者の修業の場で、新潟県の弥彦山、九州の英彦山とともに「日本三彦山」に数えられる。地蔵岳を見渡せる場所からは、クライマー同士がロープでつながり、シャクトリムシのように少しずつ頂上を目指す姿も見える。鎖やロープを使って地蔵岳に登る一般登山客向けの山道もあり、頂上で絶景を見ながら涼を取っていた。
クライミング歴15年という岡山市の男性会社員(38)は「登っている最中は汗が噴き出し続けるが、頂上はかなり涼しい。山頂で食べるカップラーメンも格別」と顔をほころばせた。
■杉木立の中でひんやり(佐中ふれあいの里)
且緩々から県道67号を北に進むと、杉の木が立ち並ぶ林の奥にキャンプ場「佐中ふれあいの里」(姫路市夢前町山之内佐中)が見えてくる。木漏れ日が差し込む濃い緑の中へ一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気に包まれた。
地元自治会が30年前、地域活性化のために開設。京阪神地域からも客が訪れ、今年4~6月には約2千人が利用したという。
杉木立の中では、吹き抜ける風を感じながらキャンプ客が、バーベキューなど思い思いの時間をゆったりと過ごす。そばを流れる夢前川では、網で仕切った水中に放たれたアユを、子どもたちが夢中で追いかけていた。
神戸市長田区の男性会社員(34)は「暑さを忘れて大自然を満喫できた」と笑顔を見せた。
オートキャンプは3千円から。要予約。佐中ふれあいの里TEL079・338・0811









