兵庫県尼崎市の稲村和美市長(49)は1日、12月11日の任期満了を10日間前倒しし、同1日に退任する意向を明らかにした。11月20日投開票の市長選を経て就任する新市長が、直後に行われる市議会12月定例会に十分な準備をして臨めるようにする。約70年ぶりの任期見直しという。
同市では1954(昭和29)年、県知事選に立候補を決めた当時の阪本勝市長の辞職を受け、現在の任期が続いてきた。
その後、7人が市長を務めたが、いずれも交代直後に12月定例会があり、所信表明演説や代表質問などの準備を急いでしなければならなかった。実際に、2010年に稲村市長が初当選した際は、就任3日後に開会したという。
定例会の会期を1月まで延ばせば次年度の予算編成に影響する一方、12月1日までに新市長が就くと、規定により在任期間がわずか1日でも期末手当の一部(約83万円)が支払われるため、「市民感覚では理解が得られない」として、就任日を同2日とした。
稲村市長は市長選後に議長に辞職願を提出し、11月臨時会での議決を経て決定する。市長は「新市長がしっかり責任を持って議案を提出して説明し、質問に答えることは市民や市政にとって非常に有意義」としている。(広畑千春)