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事件記録保存の在り方を議論する最高裁有識者委員会の初会合=25日午前、東京都千代田区、最高裁(代表撮影)
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事件記録保存の在り方を議論する最高裁有識者委員会の初会合=25日午前、東京都千代田区、最高裁(代表撮影)
記録保存について検証する有識者委員会の初会合であいさつする最高裁の堀田真哉事務総長=25日午前、最高裁(代表撮影)
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記録保存について検証する有識者委員会の初会合であいさつする最高裁の堀田真哉事務総長=25日午前、最高裁(代表撮影)

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件をはじめ、全国各地の家裁で重大少年事件の記録が廃棄されていた問題で、最高裁は25日、元検察官、弁護士、大学教員で構成する有識者委員会の初会合を開き、事件記録保存の在り方について検証を始めた。最高裁は、廃棄当時の神戸家裁職員らから聞き取り調査をする連続児童殺傷事件以外でも、全記録の廃棄が分かった全国の重大少年事件で経緯を調査する考えを明らかにした。有識者委に諮る。(霍見真一郎)

 また、大分地裁が事実上の永久保存に当たる「特別保存」に選定した民事裁判記録6件が、今年廃棄されていたことも有識者委に報告された。

 「事件記録の保存・廃棄の在り方に関する有識者委員会」。メンバーは座長に選ばれた梶木寿弁護士(元広島高検検事長)、神田安積弁護士、高橋滋法政大学教授の3人。最高裁の堀田真哉事務総長は相次ぐ記録廃棄に「事件に関係する方々を含む国民の皆さまに申し訳なく、率直に反省しなければならない」と謝罪した。

 会合は冒頭を除き、非公開で行われた。会合後の最高裁の説明によると、連続児童殺傷事件の記録廃棄に関する聞き取りは、廃棄当時の神戸家裁関係者30人余りに上り、調査は現在も続いている。最高裁は神戸での廃棄の経緯について「ある程度の事実関係が分かりつつある」としたが、調査と分析を終えていないとして、最終報告書で明らかにすると述べるにとどめた。

 一方、大分地裁が廃棄した特別保存の民事裁判記録は、2013~15年に判決が出た6件。いずれも20年12月に特別保存に選定されたにもかかわらず、今年2月17日に全て廃棄されていた。記録廃棄問題を受けて最高裁が特別保存の状況を照会したところ、10月25日に同地裁が報告した。最高裁の小野寺真也総務局長は「大変遺憾。有識者委の意見を踏まえ、必要な調査を行う」とコメントした。

 このほか有識者委の初会合では、最高裁側が想定した事件記録を廃棄する際の制度や運用上の問題点などを説明。このほど明らかになったオウム真理教に対する解散命令請求の記録廃棄も伝えられたという。

 第2回会合は28日に予定され、今後の調査方針や最終報告書をまとめる時期などで意見を交わす。また、神戸連続児童殺傷事件の被害者遺族、土師守さんから提出された要望書などを委員に示し、聞き取りなどで遺族や被害者の意見を把握する必要性も議論するという。

【重大少年事件の記録廃棄問題】今年10月、少年法改正の契機にもなった神戸連続児童殺傷事件の全記録を神戸家裁が廃棄していたことが判明。2004年の長崎小6女児殺害事件や06年の奈良医師宅放火殺人事件など、各地の重大事件でも記録の廃棄が相次いで明らかになった。少年事件の記録は、少年が26歳に達した後に廃棄されるが、最高裁の内規では、史料的価値が高いと判断された場合は事実上の永久保存に当たる「特別保存」とするよう定めていた。最高裁は、記録保存について有識者委員会で検討する方針を示すとともに、事件記録の廃棄を一時的に停止するよう全国の裁判所に指示した。

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