大地震があったトルコに国際緊急援助隊の一員として派遣された第5管区海上保安本部関西空港海上保安航空基地の機動救難士、田中靖彬さん(33)が24日、神戸市中央区の5管本部で活動を報告した。
地震は日本時間の6日午前に発生した。援助隊は海上保安庁や警察、国際協力機構(JICA)などの73人で構成され、田中さんは第2陣として9日にトルコ南部のカフラマンマラシュに入り、13日までの5日間、人命救助にあたった。
街には粉じんが舞い、あちこちで建物が崩れ、8階や11階建ての建物も「全く原形をとどめていない」状態。「一刻も早く」と気がはやる一方で、危険も伴う救助活動には時間がかかるため「申し訳ない」という気持ちが募ったという。
田中さんが加わった10人の小隊では2人の行方不明者を発見したが、いずれも亡くなっていた。「日本をたつ時から生存者の救出を諦めないという気持ちだったので残念」と悔しがる。
夜は氷点下7度にもなる寒さの中、テントで寝泊まりし、「ほぼ休み無し」で救助にあたった。一方で、被災者からは感謝されたり、「何か手伝えないか」と声を掛られることも多く、「1人の人間としてできることをやろう」と作業に没頭したという。
田中さんは神戸市垂水区出身で、東日本大震災の被災地でも活動した。「これまでに経験したことのない現場で難しさもあったが、形式的な手法にとらわれず臨機応変な対応が必要」と仲間には伝えたいという。(竜門和諒)