丹波

人生を豊かに生きる秘訣とは… お坊さんが法話を語る「H1グランプリ」番外編、開催

2022/06/07 05:30

 パンデミック(世界的大流行)の世も、人生の出会い、ご縁を大切に-。宗派を超えて法話を披露する「H1法話グランプリ」番外企画が兵庫県丹波篠山市郡家の曹洞(そうとう)宗・長楽寺であった。約80人を前に、住職の安達瑞樹(ずいじゅ)さん(47)と真言宗須磨寺派・須磨寺(神戸市須磨区)の寺務長、小池陽人(ようにん)さん(35)が仏の教えを下敷きに、ユーモアを交えながら語り掛け、時に涙も誘った。(堀井正純)

 「H1」は全国から集った僧が法話を披露し、「もう一度会いたいお坊さん」を基準に、グランプリを選ぶ。今回は、全国行脚と銘打った番外編の第1回で、4日に行われた。

 安達さんは、漫才コンビで活動した経歴の持ち主で、2019年大会の優勝者。自らの体験として、新型コロナウイルス禍前のインド旅行を紹介した。「本場のカレーが食べられる」と大喜びで出掛けたものの、4日目には「みそ汁や白いご飯が恋しくなった」という。

 外国旅行では、日本の良さ、日常の素晴らしさを再認識することも多い。「コロナ禍でも同じでは? 普段気づかなかったこと、見えなかったものが、見えるようになった。家族や友人との関係、命や絆を見つめ直す機会になったのでは」と指摘。「日常のありがたさに気づき、優しさにつなげることが、多くの笑顔を生む」と語り掛けた。

 小池さんは20代のころ、四国八十八カ所巡礼で知り合った同い年の青年から「深い学びを得た」と回想。ドレッドヘアの汚れた身なりだった青年は、野宿をしながら旅していた。雨の中、無人駅で一緒に泊まり、意気投合したという。

 青年は海外放浪中だったが、友人の突然の死で帰国。友を供養し、その両親を慰めるため、お遍路を始めたという。僧として修行中の自身より「よっぽど菩提(ぼだい)心を持っている」と振り返った。

 また、小学校のある女性教師が、問題児だった少年の心の傷に気づき、寄り添い、立ち直らせた話も披露。出会いによって、少年は救われ、この教師は本当の意味で教師のやりがいを得たと説いた。相手の外見や地位、肩書などにとらわれず、「我以外、みな我が師。出会う人が、みな自らの先生だと受け止めれば、『一期一会』を大切にでき、人生をもっと豊かに生きられる」と力を込めた。

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