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神戸新聞NEXT 自ら改装したシェアハウスで談笑する山口晶さん(左端)ら。右手前がオーナーのアピース・ポールさん=神戸市中央区北長狭通3(撮影・後藤亮平)
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自ら改装したシェアハウスで談笑する山口晶さん(左端)ら。右手前がオーナーのアピース・ポールさん=神戸市中央区北長狭通3(撮影・後藤亮平)

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 神戸を神戸たらしめている三宮・元町が、大きな変革期に入ろうとしている。神戸市は昨年、都心の風景を一変させる大胆な将来ビジョンを策定。2016年度、再整備計画が本格的に始まる。折しも来年は、神戸港開港150年。ハイカラの遺伝子は、未来の港町にどんな姿を描き出すのだろう。「兵庫で、生きる」第6部は、静かな熱気が渦巻き始めたかいわいの人々を取り上げる。(黒川裕生)

 三宮と元町の間に延びる坂道トアロード。その西、細い路地が入り組むトアウエスト。小粋な雑貨店やカフェが並ぶ通りを外れ裏道に入ると、古めかしい4階建てビルがある。

 「どうも、初めまして」。人懐こい笑顔で迎えてくれたのは、設計やデザイン、施工を手掛ける集団「TEAMクラプトン」代表の山口晶さん(27)。ビルの一室で暮らし始めてから、1年半になる。

 狭い急階段の先。2階の壁をぶち抜いた30平方メートルほどのコモン(共有)スペースこそが、このシェアハウス「Z ROOMS」の神髄と言える。

 「調子どう?」「おいしそうだね」

 食卓で日本の男性とフランスの女性が親しげに英語で会話を交わす。暮らしているのは性別、国籍、年齢、職業、全てごちゃ混ぜの10人余りだ。

 木を基調にした棚や調理台。部屋の隅には畳3枚分の小上がり。全て山口さんたちが手作りした。クラプトンは、こうしたシェアハウスやバーの改装、イベントの企画などで収入を得ている。

 山口さんを含む20~30代の男女4人が、中核メンバー。作業には友人、時には当のシェアハウスの住民も加わる。

 企業に属さず、己の腕と人脈だけを頼りに仕事を得る。枠にとらわれないそんな生き方が、神戸の片隅で力強く息づいている。

 屋上にはバーカウンター。林立するビルの谷間から見えるのは、大丸神戸店の特徴的な外観。山口さんが言う。

 「僕らは変態なんですよ、いい意味で」

     ◇

 進取の気質。ミナトからいち早く異国の文化を取り入れてきた神戸の地域性は、そう称される。

 山口さんにとって、“変態”は進取と同義かもしれない。

 そもそも来歴が面白い。宝塚市出身で、中学から単身渡英。大学で設計を学び、帰国後は大阪や鎌倉、明石の設計事務所などで働いてきた。

 数年前、トアウエストをぶらついていると、バーや英会話教室を経営する米国人アピース・ポールさんが声を掛けてきた。紹介されたのが、このビル。14年秋、山口さんは自らの手で大改装した部屋に住み着いた。

 暮らす、働く、遊ぶ。すべてが街の真ん中で成立する。

     ◇

 1月末、大阪市東住吉区。山口さんらが手掛けたシェアハウスの完成パーティーで、メンバーの明るい声が響く。

 山口さんは、神戸の街だからこそ生まれた縁を解説してくれた。

 「東京だと変態は埋もれる。大阪や京都はちょっと空気が違う。でも神戸では連帯できる。ちょうどいい規模と自由さが魅力です」

 街に重なっていく新しい色、懐かしい色。山口さんらの拠点・トアウエストも、二つの色彩が交錯していた。

2016/3/16
 

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