今回は日本を訪れる外国人の増加で好影響が及ぶ鉄道や百貨店、メーカーといった銘柄を取り上げます。主に中国人が化粧品や家電製品を買い込む「爆買い」が社会現象にもなりました。日本人の節約志向が根強い中、訪日客の消費により、幅広い企業の業績拡大に期待がかかります。
東京・銀座や大阪・心斎橋で買い物する姿が目立ち、東南アジアからの観光客も増えました。背景には査証(ビザ)発給の要件緩和や航空路線拡大に加え、円安があります。2012年に1ドル=80円前後だった円相場は今月2日時点で112円台で、日本への旅行に割安感が出ています。
政府観光局の統計で、訪日客は16年に2千万人を超えました。東京五輪開催の20年に4千万人とする目標です。客数の推移は恩恵がある業種の先行きを見極める指標として、注目を集めます。
代表的な銘柄にJR東海や京成電鉄があります。訪日客がこれらの鉄道を移動で利用し、業績面で寄与するためです。日本航空なども同様に利用が伸びています。
訪日客のお目当ての一つは宝飾品です。高島屋などの百貨店が潤い、日本人の消費低迷を補う場面もありました。日本百貨店協会が毎月集計する客足や購入額は需要動向の手掛かりとされます。
日本メーカーの炊飯器や掃除機も売れ筋で、ビックカメラやラオックスといった量販店や免税店が外国人で混み合うこともあります。
国は訪日客の消費を後押ししようと、14年秋に消費税の免税品目を化粧品や医薬品にも広げました。追い風を受けて業績予想を上方修正した資生堂は16年末の株価が13年末に比べ7割強、花王も7割近く上昇しました。
一方、懸念材料もあります。過去には日中関係の悪化で旅行者が急減しました。感染症やテロへの警戒感が高まれば、渡航が自粛されます。円高も歓迎されません。最近は爆買いが下火との声もあります。需要喚起に向けた企業の工夫が注目されるでしょう。