25年前の阪神・淡路大震災で被災者たちが身を寄せ、「テント村」と呼ばれた兵庫県芦屋市津知町の津知公園で、中央に植わる老齢の桜が9日、伐採された。震災直後の春も花を咲かせ、被災者を励ました桜だった。
「震災の年も咲いてくれて。テントに花びらが落ちる音が、雨のようだったのを覚えています」。そう振り返るのは、テント村に避難した女性(79)。震災で孫娘=当時(2)=を亡くした。
同市街路樹課によると、この桜は幹の内部が大半腐り、いつ倒れてもおかしくなかったという。伐採後は、新しい桜の苗木が公園の別の場所に植えられる。
女性は「さみしいけれど、子どもが遊ぶ場所なので安全第一。公園にはたくさん桜があるので、これからも花をめでて楽しみたい」と話している。(斉藤絵美)