兵庫2、8区の牙城を死守した公明党。維新旋風に自民が揺らいだ中、支持母体・創価学会をフル回転させ、組織戦で「常勝関西」の面目を保った。
「コロナ禍を克服し、日本の再生に向けてしっかり仕事をしたい」。午後8時すぎ、当選確実の一報に前国土交通相の赤羽一嘉氏(63)=兵庫2区=は、神戸市兵庫区の選挙事務所で9期目の抱負を語った。4選を決めた中野洋昌氏(43)=同8区=も尼崎市内の事務所で支援者と喜びを分かち合った。
2000年から両区で候補者を立てる公明が議席を失ったのは、民主党政権が実現した09年衆院選のみ。自公連立政権を象徴する“指定席”を、強固な集票力で堅持した。
支持者の高齢化で組織力の陰りがささやかれてきた。前回衆院選の比例票は、連立政権発足後で過去最低の697万票。今回、党本部は全国800万票獲得を掲げ、兵庫は近年にない34万票超えが至上命令となった。
従来なら2、8区に入って支援した地方議員は地元に残り、比例票の掘り起こしに注力。両区の候補者も街頭で、政権与党の実績や高校3年生以下に一律10万円を支給する公約を強調して「庶民の暮らしを守る政党」(赤羽氏)を押し出し、安定した戦いを展開した。(金 旻革)
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