21日夜、ピッチを駆けるサッカー女子の選手たちを、札幌ドームの記者席から見ている。東京五輪の競技が始まった。
約4万人収容できるスタンドに観客はいない。「スポーツの祭典」につきものだと思い込んでいた応援の肉声も鳴り物の音もない会場で、さまざまな思いが交錯する。
2002年サッカーワールドカップ(W杯)や19年ラグビーW杯では、スタジアムは熱気にあふれ、記者も高揚感に包まれた。躍動する選手や支える関係者、観戦を楽しむ人たちの姿も重なり、国際大会の印象として強く残っている。
コロナ禍の21年五輪。なでしこジャパンの攻守の要で先発出場したMF中島依美(INAC神戸)は「勝つためにいい準備をしてきた。いい報告ができるように頑張りたい」と語っていた。
私たち取材班も、記者としてできることを話し合いながら準備をしてきた。全力でプレーする選手を見ると、やはり胸が熱くなる。それを紙面で表現する。選手が掛け合う声やボールを蹴る音が響くドームで決意を新たにした。(金山成美)