新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京パラリンピックが始まった。兵庫県内で車いすに乗って活動する人たちからは、開催の意義をかみしめ、選手の活躍や多様性への理解の広がりに期待する声が寄せられた。(金 慶順)
車いすでファッションモデルを務める県内在住の日置有紀さん(31)は21日、東京であった聖火リレーに参加した。迷いもあったが「多様性というコンセプトは自分が活動する思いに通じる」と考えて推薦に応じ、車いすで駐車場内を約50メートル走った。
学生時代に脊髄の病気になり、首から下がまひ。リハビリを経て車いすに乗り、モデルとして活動する。入院中、車いすラグビー代表の倉橋香衣(かえ)に出会い、応援してきた。「パラスポーツは、『障害があるのにすごい』ではなく、スピードや動き、筋肉に見入ってしまう。その純粋な感動や驚きが多様性の理解につながってほしい」と願う。
車いす卓球で2004年のアテネから4大会連続で出場し、東京大会も目指していた別所キミヱさん(73)=明石市=は「選手たちは1年の延期や練習の制限に負けず頑張ってきたのだから、自信を持って戦ってほしい」とエールを送る。
骨に腫瘍ができる病気で車いす生活になった後、45歳で卓球を始めた。自身も今年、感染対策に苦労しながら海外での予選大会に臨んだ。コロナ禍での大会に「不自由な思いをしている人がいる中で開催してもらえる」とかみしめ、「パラアスリートたちが、使える機能をフルに使って挑む姿を見てほしい」と話した。
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