サッカーのワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会に挑む日本代表メンバーが１日、決まった。兵庫ゆかりの選手では、昨夏の東京五輪でも活躍した尼崎市出身の堂安律（２４）＝フライブルク＝が初のＷ杯切符をつかんだ。一方、有力とみられていたヴィッセル神戸の大迫勇也（３２）は選から漏れ、明暗が分かれた。

　堂安は代表入り決定後、自身のユーチューブチャンネルを更新し、「自信しかない状況。（代表内の）立場的にもやるしかない」と力強く決意を表明した。

　発表はドイツ時間の午前６時ごろで、「寝起きと感じないぐらい緊張した」と明かした。初選出の吉報に連絡が殺到したというが、母親とだけ電話をつなぎ、「泣いている感じがした。親孝行ができたかな」と頬を緩めた。

　「次点」の存在で代表入りがかなわなかった前回のロシア大会から４年。オランダやドイツでもまれ、たくましくなった。今年３月のＷ杯アジア最終予選で代表を外れた際には、交流サイト（ＳＮＳ）に「逆境大好き人間頑張りまーす！」と投稿。悔しさを力に変えて前に進んできた。

　日本がＷ杯に初出場した１９９８年生まれ。地元尼崎の浦風ＦＣ、西宮ＳＳで育ち、ガンバ大阪の育成組織を経てトップ選手になったが、その間、日本はＷ杯１６強の壁を破れていない。

　１次リーグではドイツ、コスタリカ、スペインの順に対戦する。スペインには東京五輪の準決勝で延長の末に０－１で惜敗した。強国を相手に、堂安は「全員が嗅覚を研ぎ澄ませて食ってかかれるか」と一体感を鍵に挙げた。

　日本がベスト８以上を目標に掲げる中、堂安も「新しい景色を届けたい」と呼応した。その上で、強気な性格で知られるアタッカーはこう言葉を紡いだ。

　「夢を見ていい。小さい頃、Ｗ杯に出ると言ってばかにされてきた人たちが夢を見て、この舞台に立った。優勝を目指さないでどうする」（有島弘記）