日本固有の希少種「ニホンイシガメ」の赤ちゃんが、尼崎の森中央緑地(兵庫県尼崎市扇町)で、すくすくと育っている。甲羅は長さ2~4センチ程度で、飼育用の水槽内などで元気に動き回ったり、水面から顔をのぞかせたりして愛らしい姿を見せている。(斎藤雅志)
かつては本州や九州に広く生息していたが、外来種の影響や環境の変化により数が減った。現在、同県レッドデータブックで「存続基盤が脆弱な種」としてCランクに指定されている。雑食性で、成長すると甲羅の長さは15~20センチになる。
同施設では、武庫川流域で捕獲された雄5匹を飼育。生物多様性への取り組みとして昨年8月に宝塚市在住の男性から雌2匹を借り受けて繁殖に挑んでいる。
飼育場としてパークセンター近くに設けた「カメさんひろば」で今年6~7月に産卵を確認。9月15日には1匹目がふ化し、これまで計11匹が誕生した。成育が安定すれば、一般公開を検討するという。
飼育を担当するスタッフの松下友士さん(26)は「かわいさだけに目を向けるのではなく、絶滅の心配があることを知ってもらい、環境に気を配るきっかけにしてほしい」と話した。
尼崎の森中央緑地パークセンターTEL06・6412・1900