段ボールや廃材で創作する美術家の「ズガ・コーサクとクリ・エイト二人展」が、神戸市兵庫区新開地5、新開地アートひろばで開かれている。「地下道」を題材に、手作業で入念に仕上げた空間は広々として温かな人間味が感じられる。(小林伸哉)
「ズガ・コーサク」こと岸川のぞむさん=大阪市北区=が絵を描き、「クリ・エイト」こと岡本和喜(わき)さん=兵庫県西宮市=が立体を手がける。バス停や文化住宅、ゴミステーションなどをテーマに2009年から活動してきた。
「古いもの、味のあるものに心ひかれる」という2人は今回、高速神戸駅(神戸市中央区)から湊川神社方面に延びる地下道を表現。展示する三叉路の長さは計約24メートルだが、遠近法を駆使して描かれた壁画に囲まれているため、まるで100メートル以上先まで見通しているような錯覚に陥る。
4月下旬から仲間と約16日間をかけて創作した。「2人ともしつこい性格で、ずっと作り続けることが苦じゃない」と岸川さん。地下道の黒光りした汚れは、水性ペンキを4度塗った。岡本さんは「溝が気に入っている。うまいこといったなあ。地味やけど、天井の配管も頑張った」。近づいて見ると、素材や技法の細やかさに驚かされ、ユーモアのセンスには思わず笑みがこぼれる。
30日まで。午前10時~午後5時半。入場無料。火曜休館。新開地アートひろばTEL078・512・5500