「子どもと2人きりだと怒りたくなることも、親同士で同じような経験を共有すると笑い話になるんです」
2020年4月、知人ら3人と子育てサークル「ママカフェスマイル」を立ち上げた。六甲アイランドを拠点に、障害のある子や発達が緩やかな子を育てる親ら10人が参加。悩みを打ち明ける茶話会を少人数で月2回ほど開く。
子育てには、横のつながりに救われることがたくさんある。15歳から3歳まで4男1女を育てる実感が設立の原点だ。
長女が学校に行きたがらず気がめいりそうな時、児童館で知り合った先輩ママの一言で肩の力が抜けた。「無理して学校に行くだけが正解じゃないんじゃない?」。娘と2人だけで話し合う時間を取るなどし、少しずつ学校に行けるようになった。
サークル設立時からコロナ禍が続くが、参加人数を減らすなどして活動を続けてきた。学校では授業参観の中止などで親同士が知り合う機会が減り、サークルが貴重な情報交換の場になっている。「支援が必要な子にどう対応してもらえるか」「どこまで先生に頼ればいいのか」-。小学校入学前の参加者の不安に、同じ道をたどった先輩たちがアドバイスする。
ただ、どこかに孤立を深めている親子がいるかもしれない。「きっと今こそ、共感を得られる場が求められている」。使命感が強まる。
目標は、息の長い取り組みにすることだという。「具体的な道筋を示して何かを解決するのではなく、緩やかなつながりの中で、親の心が少しでも軽くなってくれれば」。神戸市東灘区在住。(斎藤 誉)
【2022年1月24日掲載】