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<これぞ神戸流>カボチャ専門店経営 佐藤一さん(38)「栗マロン」に熱意かけ

2022/05/12 05:20

 阪急御影駅から南に徒歩で数分。山手幹線沿いに木と鉄を組み合わせた、シンプルな建物が現れる。ショーケースには写真映えする料理。ウッドデッキで並木を眺めながら、スイーツが味わえる。

 濃厚な甘みが魅力の高級カボチャ「栗マロンかぼちゃ」の魅力を広めようと、2015年に専門店「Zucca」を開いた。青果業に携わる父が約30年前に出合い、味にほれ込んで販路拡大に没頭してきた品だ。

 幼少時から「おいしい」と言い続ける父の姿を見て育った。約10年前、父と共に同名の販売会社を立ち上げ、新たな展開を探った。

 青果物には価格の変動がつきものだ。「栗マロン」は高級メロンと同様、花を間引いて育てるため、栽培に手間がかかり、収穫量が限られる。取引を続けるのは、全国約70人の限られた生産者。「年間通じて一定の値段で販売できれば、生産者にも報いることができる」と、ブランド価値を高めるための店舗オープンを決めた。

 「カボチャの味は糖度だけで決まらない。コクを出すためにはデンプン質が大事」。語るほどに言葉が熱を帯びる。店に並ぶチーズケーキやプリンなどのメニューは「自分の子どもが食べて安心なものを」と無添加や手作りにこだわる。共に仕事をするのは、カボチャへの思いを共有できる相手だけ-と決めている。

 外部の催事で出合ったコーヒーショップのコーヒーを取り扱うなど、コラボレーションやさまざまな仕掛けを続ける。「加工品を入り口に、おいしさを次世代に伝えていきたい」。店舗展開も目指し、奔走する日々だ。神戸市東灘区在住。(太中麻美)

【2018年5月19日掲載】

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