七色(なないろ)ちゃん(推定2歳)は、動物病院の院長夫人から保護ボランティアの田辺アンニイさん(東京都足立区、台湾出身)のところに託された妊婦猫でした。昨年(2021年)3月、その動物病院の患者さんから「日に日にお腹が大きくなっている猫がいる。助けてあげたい」との相談があったそうです。
■4匹を出産した母猫 そのうち1匹は“他界”、3匹は里親の元へ
「院長夫人とは10年以上のお付き合いがあり、病院が保護した猫などを私が預かり譲渡につなげていました。今回妊婦猫を預かったのは初めての経験。すぐに引き受けたのですが、患者さんが保護して我が家に来た4日後に七色は4匹のかわいい子たちを出産しました。
当時は七色が警戒してウーウー怒っていたため、出産時に大した手助けをしてやれず・・・七色にほとんど任せっきりになってしまいましたが、へその緒と胎盤がついたままでをかみ切ることをしなかったため、私が消毒したハサミでへその緒を切ってあげて。そのあと、七色のもとに子猫たちを戻したことが今でも思い出深いです」
しかし、生まれた4匹のうち1匹は生後1週間で“他界”。ただ残った3匹はすくすく育ち、生後8週間を超えてから、優しい里親さんが見つかり巣立っていきました。
■母猫は里親先から3カ月半後に出戻り・・・
次は母猫が幸せになる番だと願った田辺さん。七色ちゃんの里親探しを始めました。そしてついに昨年9月、七色ちゃんが里親さんの元へ旅立ったのですが・・・譲渡から3カ月半が経ったあとに田辺さんのところに戻ってきてしまいました。
「譲渡当初は気にならなかった歯の状態が気になるという理由で、七色は出戻ってきました。里親さんのところに行ってから口臭がとても気になってきたらしく、病院に連れて行ったところ、歯周病と判明。獣医師から歯磨きを進められたそうですが、『歯磨きが負担』だと相談され再び私がお世話することになったのです。子どもを産んだ後も、とても健康な子だったのですが・・・」
七色ちゃんが田辺さんのところに戻ってきたのは、ちょうど12月25日の「クリスマス」でした。七色ちゃんをクリスマスプレゼントだと思ったという田辺さん。今も大切にお世話をしています。
「七色は長く外暮らしをしていたせいで警戒心はありますが、まだ若く引っかいたりかんだりしない、おとなしい子。触るとゴロゴロするけど、少しシャイなところもあります。一生懸命に赤ちゃんを育てた素敵な女の子です。私がずっとお世話をしたいところですが我が家にいる雌猫が七色をいじめるので・・・今の環境は七色に適していません。七色の安住の地を見つけてやりたい気持ちでいっぱいです。過酷な外暮らしと、子猫の出産が影響していると思われますが、歯肉に少し炎症があり歯が数本欠損している以外はいたって健康です。今度こそ運命の赤い糸を手繰り寄せたいと思います」
■保護活動のきっかけは、河川敷で遺棄された犬たちとの出会い
田辺さんが、保護・譲渡活動をはじめたのは2002年の春。きっかけは、当時自宅近くに流れる荒川の河川敷に遺棄された多くの犬たちとの出会いでした。「個人の自分になにができるのだろう」と模索しながら取り組みを開始。その結果、7年かけて河川敷で生き残った数十頭の犬たちを全て保護し、ご縁につなげたといいます。
現在は、マンションの一室である自宅に家のない犬猫たちを保護し、ご縁が見つかるまで一緒に暮らしているとのこと。これまで譲渡につなげた犬猫の数は400匹ほど。また、高齢あるいは重い病を抱えている、余命いくばくもない犬猫たちは保護したあと、譲渡はせず生涯、田辺さんのところで過ごしているそうです。
七色ちゃんの里親についての問い合わせは、田辺さんのTwitterアカウントまで。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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