垂水マンスリー
「舞子」。こうべっ子は、その名に慣れ過ぎて何とも感じないかもしれないが、地名としては、とても珍しく、美しい響きを放つ。明石海峡を望む景勝地として多くの人々に愛され、明治から昭和期にかけては、時代の先駆けとなる建物や公園がつくられた。舞子物語最終回は、この地の歴史を学ぶ「舞子学」をお届けする。(吉田みなみ)
【1時間目】地名の由来
舞子と呼ばれるようになった経緯には、諸説あるようだ。早速、県立舞子公園を管理する県園芸・公園協会舞子公園管理事務所に尋ねてみた。
「兵庫県立舞子公園百年史」には、二つの説が記述されている。一つは「平安時代、在原行平や平清盛などが女性を集めて舞を踊らせた」というもの。もう一つは「海峡の中で最も突出しているために潮が回り込む浜」との説だ。
【2時間目】初の県立都市公園
明治天皇は舞子をこよなく愛され、1885年以来7回も行幸された。当時は立派な料理旅館などが並んでおり、ひときわ立派な「亀屋旅館」(廃館)がよく御在所になったという。
明治政府は先進諸国に追いつくために公園の建設を国策とし、1873年1月に公園制度を布達。1900年7月25日、初の県立都市公園として誕生したのが舞子公園(東舞子町)だった。
【3時間目】公園内の邸宅
舞子公園内には、明治~昭和初期に建てられた邸宅などが当時の趣を伝える。
中国の革命家・孫文を顕彰する国内唯一の施設「孫文記念館」もその一つ。明石海峡大橋の建設に伴い、現在の位置に移転復元された。八角の窓から見る景色がそれぞれ違うので「移情閣」とも呼ばれる。このほか元鐘紡社長で元衆院議員の洋館「旧武藤山治邸」(1907年)や数寄屋造り近代和風住宅「旧木下家住宅」(41年)もある。
【4時間目】華やかな社交の歴史
JR舞子駅から山の手へ徒歩3分。日本庭園の広がる洋館「舞子ホテル」(舞子台2)が姿を現す。岐阜県出身で「大正の海運王」日下部久太郎の別邸として建てられ、今は山陽電鉄系列の会社が運営、結婚式場やレストランとして使われる。内外観は建設時ほぼそのままで、航海を見守る鳥・フクロウをモチーフにした柱やレトロな家具、ダンス用の応接室など華やかな社交の歴史を今に伝える。
【5時間目】地上300メートルの世界
明石海峡大橋の開通は、人とモノの流れを一変させた。31パターンの大橋のイルミネーションや橋の科学館、海上約50メートルの橋げたの中空に設けられたプロムナードを歩き、約300メートルの主塔に上る「ブリッジワールド」には、国内外から多くの観光客が訪れる。私も思い切って主塔に上ってみたが、絶景を楽しむより、高所恐怖症の自分を抑えることに必死のまま、貴重な体験は終わってしまった。
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