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かばんをたくさん持っているように見えるパネル=豊岡市中央町
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かばんをたくさん持っているように見えるパネル=豊岡市中央町
カバンをモチーフにした自販機(右)と手提げかばんが出てくる「カバンの自販機」、モニュメント=豊岡市中央町
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カバンをモチーフにした自販機(右)と手提げかばんが出てくる「カバンの自販機」、モニュメント=豊岡市中央町
支柱に付けられた巨大ファスナー=豊岡市中央町
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支柱に付けられた巨大ファスナー=豊岡市中央町
カリスマお手製のごみネット入れ=豊岡市中央町
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カリスマお手製のごみネット入れ=豊岡市中央町
「宵田町バス停」はトランクケース=豊岡市中央町
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「宵田町バス停」はトランクケース=豊岡市中央町

 かばんのまちとして有名な兵庫県豊岡市の市街地にある宵田商店街、通称「カバンストリート」を歩いていると、大きな取っ手が付いた自動販売機や、支柱に取り付けられた巨大なファスナーなどが目に付く。他にもかばんにゆかりのオブジェなどがあふれている。全長200メートルのストリートにちりばめられた隠れスポットを探してみた。(石川 翠)

 カバンストリートは、地場産品のかばんを生かして商店街の活気を取り戻そうと宵田商店街振興組合が2005年に命名。しかし当時、かばん専門店は1店もなかった。衣料品店などに既製品のかばんが置かれてはいたが、完全に「名称先行」。同組合の吉井大貴理事長(49)は「どこにかばんの店があるのかとよく尋ねられた」と苦笑いする。

 しかし、それから間もなく、一点物を手作りする専門店などが相次いで出店するようになった。現在、カバンストリートの周辺には、かばん関連の店舗が17店も集積している。

 この名実ともにカバンストリートとなった通りを、北端の交差点から南下していくと、まず目に入るのが、駐車スペースなどの「豊岡市立まちなかステーション」に置かれたカラフルなパネル。豊岡のかばんのルーツである柳行李(ごうり)や、コウノトリのステッカーなどがあしらわれたカラフルなかばんなどが描かれ、後ろから手を回して写真を撮ると、顔が隠れるほどたくさんの商品を抱えているように見える。

 2年前に設置。「インスタ映え」を狙ったパネルだけあって撮影時には思わず笑顔になるが、実際に四つもかばんを持ったらしかめっ面になりそうだ。

 すぐ近くに設置されている風変わりな自販機2台も目立つ。1台はまるで使い込んだ革のような茶色で塗装され、取っ手や開閉金具も付いている。こちらはジュースなど普通の缶飲料が出てくるが、もう1台の緑色の自販機は、1500円を入れると、350ミリリットルサイズのプラスチック瓶に入った手提げかばんが出てくるようになっている。

 吉井理事長によると、カバンストリート1周年記念で企画されたという。当時、東京・秋葉原の自販機で「おでん缶」が売られていることが話題になり、そこから着想したのだとか。

 歩道の複数箇所に置かれたフラワーポットも布が巻かれていたり、取っ手のようなアーチが施されていたり一つずつアレンジされている。巨大なファスナーが付いた支柱も2カ所で発見。ファスナー大手「YKK」の刻印があり、開閉も可能だ。遊び心を感じる隠れスポットを見つけるたびにテンションが上がる。

 さらに南下し、ゴールに近づいてきたあたりに、景色に溶け込んで見過ごしてしまいそうなスポットがあった。電柱に巻き付けてある黒と黄色の縦じまの電柱標識板に、さらに同じ配色の縦じまの袋が巻き付けられている。

 「なんだこれ、いつの間に…」と吉井さんも気付かなかった謎の袋。中を見ると白いネットが入っている。電柱付近がごみ回収の指定場所なのでどうやら、ごみネット入れのようだ。

 道路をはさんだ向かい側に工房を構える植村美千男さん(88)に誰がつくったのか尋ねると、自分を指さした。「カリスマかばん職人」と呼ばれ、今も高度な技術が必要なかばん修理依頼が絶えない植村さん本人が、「違和感のないように」ひっそりつくったという。

 「通りのみんながさまざまな工夫を少しずつ積み上げて、もっといい『カバンストリート』に育てていければ」とフィナーレにふさわしい言葉を残してくれた。

     ◇     ◇

■思い出に感謝込め 神社で「鞄供養」

 南北に延びるカバンストリートから北上すると、小田井縣(おだいあがた)神社(豊岡市小田井町)に突き当たる。境内には同市を流れる円山川下流域に多く自生し、柳行李の素材となるコリヤナギを祭る柳の宮神社があり、「かばんの神社」と呼ばれている。

 豊岡鞄協会は、今年から同神社で「鞄供養」を始めることを発表した。

 使い終わった子どものランドセルや、亡くなった親からのプレゼントなど、「思い出深いかばんを処分できない」という声をよく聞くといい、「物と心の整理整頓に」と企画。

 希望者から送られてきたかばんを、財布の日(3月12日)とバッグの日(8月9日)の年2回、同神社で祈とうし、祈とう証明書を発行する。SDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す取り組みの一環として、状態によっては部品のリサイクルや、途上国への寄付などリユースも検討する。

 祈とうするかばんは、カバンストリートの協力店舗などへ持ち込むか、同協会のホームページで申し込んで郵送(送料必要)する。3千~4千円(財布や小物、ランドセルは2千円)の費用が必要。豊岡鞄協会TEL0796・23・7833

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