底が見えるほど浅くなったため池に、上空を旋回していたコウノトリが3羽、5羽と次々降り立つ。翼を畳むと、くちばしを水の中に差し込み、餌となる生き物を探し始めた。昨年12月23日の昼下がり。兵庫県加古川市志方町細工所の深志野池に合計64羽が集まった。
「これだけの数は日本で一番じゃないかな」
細工所ため池協議会の金沢正己さん(73)は飛来を歓迎し、声を弾ませた。自宅の玄関には、集団を収めた写真3枚をつなぎ合わせて飾っている。
深志野池に初めてコウノトリが降り立ったのは2019年10月下旬。水を抜いた直後に確認された。ただ魚など残っていた生き物は少なく、2週間ほど滞在した2羽だけにとどまった。
生き物の流出を防ぎ、少しでも長く過ごせるよう、ゲートにせきを設けて浅い水深を保てるようにした。すると、翌年は一度に14羽が確認された。さらに21年は、周辺のため池で餌がなくなった頃を見計らってから水を抜いた。餌場となる浅瀬を順に確保する「かいぼりリレー」となり、集団を呼び込めた。
金沢さんの愛着は深い。飛来のたびにその姿をカメラに収める。個体を識別するため足輪の画像を拡大し、観察データとしてまとめている。「どの個体が来ているのか探すのが面白い」
秋になると加古川市や稲美町など東播磨のため池に飛来するコウノトリは、今や見慣れた光景となった。地域の関心も高まる。いなみ野ため池ミュージアム運営協議会(事務局・東播磨県民局)に寄せられる目撃情報は年々増え、21年度は前年を大きく上回る約140羽が確認されている。
要因は、野外個体数の増加。営巣地が集中する但馬周辺は飽和状態となり、特に気温が下がる秋からは水辺の生き物が減ってしまう。若鳥にはペアになるまで長距離を移動する「渡り」の習性があり、0~2歳を中心に、餌が捕りやすくなったため池に立ち寄る。
さらに、過ごす期間も長くなる傾向にある。21年は5月まで目撃が続き、6月はゼロだったが、巣立ちシーズンの7月から確認され始めた。今年2月に入っても、明石市の住宅街のため池は5羽前後がねぐらにし、連日、夕方から朝にかけて羽を休めた。
18年度に同協議会が作成した「ため池コウノトリプロジェクト実施計画」は、定着を視野に入れた長期目標を掲げる。営巣、繁殖を見越して各地に巣塔も建てられているが、ため池に水が張られる3月以降は餌場が減ってしまう。今年も営巣の兆しは見られない。
加古川市志方町で観察を続ける金沢さんも希望を持つが、課題も認識する。「巣塔より、1年間餌を確保できるようにしないといけない。多くの人に関心を持ってもらい、環境整備が必要だと知ってほしい」
◆
秋冬に水が抜かれる東播磨のため池は、若いコウノトリにとって良好な餌場となっている。定着の夢が膨らむ中、人々はどう向き合っていくのか。課題と展望を考える。(若林幹夫)
【連載一覧】
(2)餌場 繁殖期に減、地道に整備
(3)農業 春以降の餌場拡大に壁
(4)営巣 行動範囲広く淡路で繁殖
(5)負傷 共生考えるきっかけに
(6)給餌 野生復帰には逆効果に
(7)意義 豊かな生態守り伝える

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