連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

長田マンスリー

  • 印刷
目まいを和らげようと、細かな模様を描き込んだ作品を手掛けるようになった安積沙矢さん。初めて作品を販売する=長田区庄田町3
拡大
目まいを和らげようと、細かな模様を描き込んだ作品を手掛けるようになった安積沙矢さん。初めて作品を販売する=長田区庄田町3

 短いメッセージと、周りを埋め尽くす緻密な花やハートの模様。そんな作品が神戸市長田区の商店や施設に贈られ、喜ばれている。贈り主は、同区の介護士安積沙矢さん(37)。病による激しい目まいを和らげようと2年前に描き始め、支えてくれた地元の人たちにプレゼントしてきた。「こんなことしかできないけれど」と、感謝の気持ちを込めて描き続ける。(吉田敦史)

 安積さんは2016年10月、電車で移動中にパニック障害を発症。その後、強い目まいを繰り返す難病「メニエール病」と診断された。原因はまだ解明されていないが、女性に多く、ストレスや睡眠不足などが関係しているという。発作があると「船酔いのような感覚」で立っていられず、家から出られなくなった。

 「何かしないと駄目になる」。目まい対策には意識を一点に集中するのが良い-と聞いてペンを手に取った。最初はただ、でたらめにぐりぐりとペンを走らせた。それが模様に見えてきて、広げていった。描いている間は不思議と目まいが起きず、黙々と続けた。

 3カ月ほどたった頃、近所の夫婦が「頑張って出ておいで」と、経営するレンタルスペースに誘ってくれた。以前なら自転車で5分で行けた場所だが、とても自転車には乗れない。出掛けては引き返す日々を繰り返しながら、徐々に距離を延ばし、ようやくたどり着いた。

 そこでの出会いで、再び介護士として働ける職場が見つかった。今は通院と服薬を続けながら、自転車に乗れ、電車で数駅の外出もできるようになった。

 「自分らしい形で、何かお返ししたい」と、レンタルスペースの宣伝文句を書いた作品を夫婦に贈呈。以来、お世話になった施設や好きな店舗に贈った数は77点に上る。誕生祝いなどで名前の漢字を書いた小作品も贈り始めた。

 15、16日に新長田の大正筋商店街である「クラフトマーチin新長田」では、初めて作品を販売する。名前の小作品(額入り)千円、ポストカード500円。

2018/12/12
 

天気(9月7日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 20%

  • 37℃
  • ---℃
  • 40%

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

  • 35℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ