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明かりだけでなく、ハウス内の夜温が下がり過ぎるのを防ぐ役割も果たすバイオガスのガス灯。発電にも使い、夏は扇風機も動かす=いずれも神戸市北区、弓削牧場
明かりだけでなく、ハウス内の夜温が下がり過ぎるのを防ぐ役割も果たすバイオガスのガス灯。発電にも使い、夏は扇風機も動かす=いずれも神戸市北区、弓削牧場

農場でバイオガス活用

 農業、レストラン、食品工場、家庭から出る廃棄物を発酵させて作るバイオガスを利活用する動きが全国に広がっている。処理に費用をかけていたものを熱や電気に変えるだけでなく、環境問題の解決や経営改善にもつながる事業として注目されている。
 酪農中心にチーズ製造やレストランも営む神戸市北区の弓削牧場は、乳牛のふん尿などを原料とした小型バイオガスプラントの実証研究を帯広畜産大や神戸大とともに行っている。密閉容器で発酵させることから、畜産業の規模拡大の壁となっている悪臭問題も解決できる。手段として、北海道では大型プラントの導入が進む。しかし、関西などの小規模な経営に適したプラントがなく、同牧場の弓削 忠生さんらはタイや中国で普及する小型ユニットを日本仕様に改造し、3年前から研究してきた。
 ガスは農業用ハウスの暖房や、発電に使い、副産物である液体肥料による野菜栽培も行う。神戸市と連携してさらに普及に向けた実証研究を進める。「誰もが利用できるものを作りたい」と弓削さんは目標を語る。


神戸市やJA兵庫六甲が共同開発した肥料「こうべハーベスト」=神戸市西区

リン回収し肥料作り

 神戸市は下水処理場を膨大なエネルギー資源が集まるインフラとして見直し、ガス供給や発電も行っている。
 垂水処理場では太陽光とバイオガスによるダブルエコ発電を行い、東灘処理場では下水にスイーツ工場の食品廃棄物などを加えて3千世帯分の都市ガスや1万台分の自動車燃料を生産する。
 さらに、農作物の必須栄養素であるリンを回収して肥料化する「KOBEハーベストプロジェクト」も。JA兵庫六甲(神戸市北区)が共同開発した肥料は野菜の栽培などに使われている。全て輸入に頼るリンを、暮らしと農地の資源循環から確保するシステムは全国的な関心を集めている。

カルメロ・バジレ氏プロフィール
イタリア南部で飼料作物栽培から牛の飼育、乳製品製造、レストラン、バイオガスや太陽光発電による熱・電力の自給までを手掛けるピアーナファームの代表。

資源環境 考えるシンポ

▽伊の実践者が基調講演

 「資源循環型地域づくり―バイオガスシンポジウム―農業・家庭・食品の現場から」が4月18日午後1時半から、兵庫県看護協会ハーモニーホール(神戸市中央区)で開かれる。地エネと環境の地域デザイン実行委員会主催。
 イタリア南部で飼料作物栽培から牛の飼育、乳製品製造、レストラン、バイオガスや太陽光発電による熱・電力の自給までを手掛ける協同組合のカルメロ・バジレさんが、エネルギーと資源の循環システムをテーマに基調講演する。
 弓削牧場、神戸市、JA兵庫六甲、コープこうべなどのバイオガス利用の取り組みやエネルギーの地産地消を考えるパネルディスカッションも開催。参加無料、申し込みは同実行委事務局(神戸新聞社営業局)電話078・362・7077。
 NPO法人都市型農業を考える会のホームページ(https://www.toshinou.org/)でも受け付ける。

地エネの現場 見学を

▽「バイオガス」ツアー

 地エネと環境の地域デザイン実行委員会は、自然エネルギーを生かした地域づくりの現場を訪ねる「地エネ&農食ツアー」を始める。第1弾は農や食の現場から出る有機物のごみから生産するバイオガスがテーマで4月24日に実施する。
 下水などから作ったバイオガスを都市ガスとして供給する神戸市の東灘処理場を訪問。同処理場で回収したリンを利用してJA兵庫六甲などが共同開発した肥料「こうべハーベスト」で野菜を栽培する神戸市内の農場と、乳牛ふん尿などからのバイオガス生産を実証研究する弓削牧場(神戸市)を訪ねる。
 昼食は、弓削牧場の野菜やこうべハーベストで栽培した米などを使ったランチを味わう。参加費は4980円。神戸新聞旅行社 電話078・362・7174

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明かりだけでなく、ハウス内の夜温が下がり過ぎるのを防ぐ役割も果たすバイオガスのガス灯。発電にも使い、夏は扇風機も動かす=いずれも神戸市北区、弓削牧場

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