23日午後1時半ごろ、兵庫県伊丹市内の男性(91)方で、男性から通帳とキャッシュカードをだまし取って外に出てきた男を、待ち構えていた県警の男性捜査員が職務質問した。男が「詐欺をしました」と認めたため、詐欺と窃盗の疑いで現行犯逮捕した。
男は大阪府泉佐野市の介護士(22)。逮捕容疑は、何者かと共謀し「あなたの口座から不正に出金されている」と男性宅に電話をした後、金融庁職員をかたって自宅を訪ね、男性から通帳1枚とキャッシュカード4枚をだまし取った疑い。
県警伊丹署によると、市内で別の特殊詐欺事件があり、防犯カメラの映像などを調べる中、男が被害者からキャッシュカードなどを受け取る「受け子」役を担っている疑いが浮上。このため、県警は以前から男の動向を追って行動を確認していたという。
この日、男が男性宅に入ると、捜査員はすかさず玄関横に立って聞き耳を立てた。
家の中から、男のこんな声が聞こえたという。
-「キャッシュカードをここ(封筒)にいれて」
-「印鑑ありますか」
-「割り印しますから」
これらは「定番の言葉」だという。受け子は手に持った封筒にカードなどを入れてもらい、割り印を求めて家人が印鑑を取りにその場を離れたすきに、別の封筒にすり替える-。
〈間違いない〉。捜査員は詐欺だと確信した。
男は出てくると、自分を待ち構えているような相手を見てけげんな顔をした。しかし、捜査員が警察官と告げて職務質問をすると、すぐに認めたという。
「キャッシュカードを取りました。ごめんなさい」
県警は、男が別の特殊詐欺事件にも関わっていたとみて調べる。