神戸市消防局は17日深夜、市内で同日昼間にあった団地の火災で心肺停止状態の女性(56)を3階の部屋から救助中、約5メートルの高さから地上に落下させる事故を起こしたと発表した。女性は搬送先の病院で死亡が確認された。事故との因果関係は不明だが、同消防局は「あり得ないミス」とする。一体何があったのか。
同消防局と兵庫県警神戸北署によると、火災は午後4時すぎ、同市北区君影町1のUR都市機構鈴蘭台第5団地7号棟(5階建て)の3階の一室で発生。同40分ごろ、はしごでベランダから進入した消防隊員が、心肺停止状態の女性を室内で発見したという。
近くに住む30代の女性は火災当時を振り返り、「バチン、バチンと音がしたので避難した。振り返ると、(出火した)部屋のベランダから黒色の煙が上がり、灰が舞っていた」と話す。
同消防局と同署によると、まだ火が完全に消えていない中、3階のベランダにいた隊員2人と地上の2人が協力して地上への救助を試みる。女性にハーネス型の救助器具を装着し、ロープと接続して活動を開始。1メートルほど降ろしたところで、女性の足が建物の壁に接触し、バランスが崩れて救助器具から抜け、下半身から芝生に落ちたという。
その後、すぐに病院に搬送されたが、落下から約1時間後に死亡が確認された。事故との因果関係は「司法解剖の後に確定するため不明」とするが、同消防局の担当者は「要救助者を落下させることはあってはならない不手際で、今までにもなかった。原因を究明し、再発防止に努める」と話した。
神戸北署によると、検視の結果、女性は右太ももの骨折と右側頭部に約5センチのすり傷を負っていたという。司法解剖し、詳しい死因を調べる。