兵庫県立人と自然の博物館(三田市)と京都大学、東京大学が、昆虫の筋肉を市販の薬品に漬けるだけで半永久的にDNAを解析できるようになることを発見した。この方法でデータを蓄積すれば、害虫が農薬への耐性を得る過程や、希少種を絶滅させる環境要因を調べるのに役立つという。今月24日に科学誌で発表する。(門田晋一)
同館の中浜直之研究員(30)=保全生物学=によると、標本を作るには昆虫を殺して乾燥させる方法が一般的だが、DNAは殺した直後から劣化し半年後には解析が難しくなるという。冷凍したり、エタノールに漬けたりすればDNAの情報は残せるが、費用は1匹当たり100円以上になる上、保管に広いスペースが必要になり、自然史系博物館ではあまり使われていない。
今回発見した方法は、保湿性があり、カビに強い液体で車のラジエーター液や食品添加物に用いる「プロピレングリコール」を使用。コオロギの脚の一部を漬けてプラスチック容器に保存すると、1年が過ぎてもDNAは劣化しなかった。費用は薬品と容器で10円程度となり、常温でもDNAは壊れないという。
中浜研究員は「今回の研究によって、博物館にDNAの保管庫という機能が加わる可能性が出てきた。アマチュアの人も簡単にできるので標本を作り寄贈してもらいたい」と話した。











