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山田ルイ53世さん
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山田ルイ53世さん

■ずっとスベり続けているようなもの

 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題の加害教員は「本来いじめをしてはいけない」と子どもに指導する立場で、いじめを繰り返していた。まるでコントのような話だが、とても笑えない。

 2人の子を持つ親として、「学校でこんなことが起こってしまうのか」という絶望感も抱いた。

 いじめの隠蔽(いんぺい)や教師の不祥事など教育界で問題が起こるたび、「閉じた世界」という印象を持つ。外の目を意識する機会が少ないのではないか。今回は激辛カレーを食べさせられている動画や、車の上に乗られている写真などで過激な内容に注目が集まったが、問題は身内同士でかばい合う教育界全体の体質にある。

 芸人がネタを考えるとき、常に自分以外の目を意識しながら作り上げていく。もっと分かりやすい言葉はないか、この「あるある」は自分だけが感じているのでは、と。政治家の失言が選挙直後に多いのと同じで、身内に寄りすぎると一般的な考えや感覚とかけ離れてしまう。

 この問題に言及するとき、私たちは「ほかにいい先生や頑張っている先生はいるけど」という枕言葉を使う。先生だって聖人君子である必要はない。男女問題や金銭問題を起こしてしまう人もいるだろう。

 だが、今回の暴行・暴言は先生の資質として一番やってはいけないこと。芸人で言うと、ずっとスベり続けている。救いようがない。

 一番傷ついたのは子どもたち。処罰なり再発防止策なり納得できる対策を打たないと、子どもたちに「悪いことをしても許される」と間違った例を見せてしまうことになる。

 一方で、先生という職業はかわいそうと感じることも多い。拘束時間が長く、土日も働き、ストレスや労力は計り知れない。長時間労働が社会問題になり、目指す人が減ってしまうのも仕方ない。

 成果主義を取り入れ、高級外車で登校するような先生がいてもいいのでは。トップに民間企業の出身者を取り入れたり、いっそ教科だけを教えたりといった思い切った改革が必要でしょう。(聞き手・末永陽子、撮影・鈴木雅之)

【やまだ・るいごじゅうさんせい】本名・山田順三。1975年三木市生まれ。同市立緑が丘小学校から六甲中に進むが、不登校に。愛媛大中退。99年に漫才コンビ「髭(ひげ)男爵」を結成した。

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 さまざな分野の方に聞くリレーインタビュー「先生はいま 私の考え」は随時、掲載します。

 

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