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「つらい避難所生活が始まった」との文言が掲載されている内閣府ホームページにある地震時の想定シナリオ
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「つらい避難所生活が始まった」との文言が掲載されている内閣府ホームページにある地震時の想定シナリオ

 内閣府のホームページに、地震が起きたときにどのようなことが起こりうるのかをまとめた想定シナリオが掲載されている。一戸建てで被災したシナリオの最後のページには「つらい避難所生活が始まった」の文言。1995年の阪神・淡路大震災では避難所生活の問題が深刻化し震災関連死が相次いだ。2011年東日本大震災や16年熊本地震、18年西日本豪雨の避難所でも同じような状況が繰り返された。避難所の環境改善が叫ばれる中、国が考える「一般的な想定」とは? 内閣府の担当者に聞いた。(広畑千春)

 シナリオは、午前3時に都市直下型の激震が発生し、生後10カ月の子と年老いた母を連れた夫婦が避難所にやってきたという想定。

 -避難所生活は「つらい」前提?

 想定シナリオは災害時に取るべき行動を考えてもらうもので2010年に作成しました。一般的に避難所では、プライバシーが守られないなど、普段の自宅での生活に比べてつらいのが現実です。国も、段ボールベッドの導入などを促していますが、普段から備蓄や家の耐震補強などをしておかなければ、こうした避難所生活をすることになります。避難所生活をしないために、普段から備えてほしいという趣旨です。

 -避難所に行くのをためらってしまいそう。

 河川の氾濫など危険が迫っているときに命を守るための避難と、避難所生活をするための避難の二つがあります。前者はできるだけ多くの人に避難してもらう必要がありますが、後者には在宅避難という選択肢も考えられます。

 -このシナリオの状況のように災害規模が大きく、帰れない場合は?

 その場合でも、ご近所や親戚と日頃から交流を持って助け合う環境をつくり、身を寄せる、あるいは数日間過ごせる避難バッグ、テントなどを準備していただきたいと思います。ただ、高齢で無理をして避難しないといったケースでは、避難しやすいよう環境を整える必要があります。

 自宅に比べ避難所での生活のレベルは下がり、普通の生活はできなくなります。トイレなどの設備面や女性を運営委員にするといった点を運営マニュアルなどで周知しています。

     ◇

 「現在の基準は被災後1週間で避難所を解消するのが原則。1カ月も2カ月も生活するところではない」。兵庫県立大大学院減災復興政策研究科長の室崎益輝教授は避難所環境の抜本的改善を訴える。

 近年、避難所運営の国際基準としてスフィア基準が取り上げられ「TKB」(トイレ、キッチン=温かい食事、ベッド)や「プッシュ型支援」が重視される。

 しかし、室崎教授は「熊本地震では保健所が衛生面の問題で炊き出しを禁止した。国はレトルト食やおにぎりを大量に送ったが、冷たい食事を食べ続けてもらうのはいかがなものか。大切なのは尊厳を守るという理念だ。支援としては(阪神・淡路から)後退している」と話す。

 内閣府の想定シナリオ(http://www.bousai.go.jp/simulator/shinario/index.html)

 

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