高度経済成長期から阪神沿線を彩り、60年以上親しまれてきたツートンカラーのベテラン車両が引退することが分かった。クリームと赤の色使いから「赤胴車」、同じく青の「青胴車」と呼ばれる阪神電気鉄道(大阪市)の車両で、老朽化のため、2023年度までに順次運行を終える。
「赤胴車」は1958(昭和33)年から用いられた。外装の上半分がクリーム色、下半分が赤色で、国民的人気の漫画キャラクター「赤胴鈴之助」にちなみ愛称が付いたという。
かつては本線(梅田-元町)、武庫川線(武庫川-武庫川団地前)、旧・西大阪線(尼崎-西九条)を急行などとして走った。しかし西大阪線が大阪難波まで延伸してなんば線となった09年に同線の運行を後継に譲り、15年には本線からも退き、現在は8両が武庫川線でのみ各駅停車で走行している。
青胴車は赤胴車導入の翌59年に登場。本線と西大阪線の普通用車両に使われ、今も本線を走る。加速・減速の性能が優れていることから「ジェット・カー」とも呼ばれる。
同社によると、現在の赤胴車と青胴車は製造から約40~50年がたち、老朽化が進む。赤胴車は20年度中に順次運行を終え、黄や緑色などを基調とした別の車両に替わる。32両ある青胴車は23年度までに、青色主体の新型車両、通称「ジェット・シルバー」に置き換えられる。
沿線住民らの生活を半世紀以上支え、昭和、平成にかけて阪神電車のイメージカラーとして定着していた赤胴と青胴が、令和のはじめに姿を消す。「(なくなることに)寂しさはある」と同社の担当者。車両の色は時代背景に合わせて変えてきたといい、「新しい色に期待してほしい」と話している。(三島大一郎)
