東日本大震災で炉心溶融(メルトダウン)を起こした東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)が4日、昨年に続いて日本記者クラブ加盟の報道関係者に公開された。この1年で、原子炉建物内にある使用済み燃料プールの燃料取り出し作業が一部で始まったが、鉄骨がむき出しになった箇所などはそのまま。目に見える大きな変化はないのが実情だ。
廃炉に向けた状況を知ってもらおうと、東電が視察や取材を受け入れている。これまでに地元住民や協力企業の社員ら約2万人が視察に訪れた。
水素爆発を起こした1号機は鉄骨がむき出しのまま。2018年1月、遠隔操作による大型クレーンでがれきの撤去を始めたが、放射性物質が飛散しないよう建屋を覆う必要が生じたため、作業が後ろ倒しになっている。
2号機はロボットによる建物内の調査が進み、21年中に溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しを始める予定。3号機は19年4月から、使用済み燃料プールからの燃料取り出しが始まったが、まだ1割ほどしか進んでいない。廃炉措置終了まで30~40年を目標に掲げるが、道のりはまだ遠い。
東電によると、第1原発では現在、1日平均約4千人が働く。敷地の約96%は一般の作業服で入れるが、その割合も1年前からは変わっていない。取材中、場所によっては放射線の線量計の数字がぐんぐんと上がった。原発事故の実相に今後も向き合う必要があると実感した。(村上晃宏)