新型コロナウイルスの感染拡大に備え、4月中に病床数を500にするとした兵庫県の井戸敏三知事は「用心のための確保」と強調するとともに医療崩壊を強く否定した。ただ、医師や看護師ら医療スタッフの確保や、重症者に対応する集中治療室(ICU)の病床には懸念を示した。(井川朋宏、初鹿野俊)
病床の確保については公立病院や規模の大きい民間病院に協力を求めるといい、フロアごと提供を受けることも視野に入れているという。
3日午前0時時点で、県内で108人が入院し、重症者は8人。医療崩壊について井戸知事は「そういう段階の議論はほど遠い」とする一方、「ベッドが用意できても医療体制がつくれるかどうか。医師と看護師の確保が問題」とした。
症状の重い患者は、ICUで対応するが、病床数は限りがある。知事は「重症者の行き場がなくなると医療破綻が起きる。重症者への対応をしっかり進めていく」とも述べた。
軽症者や無症状者は、いったん入院させた後に施設や自宅に振り分けるか、そもそも入院させないかで議論しており、今後方針を示す。
また、神戸市も3日、病床を現在の50から120に増やすと表明。市内の病院と調整中だが、感染症の予防策を講じられるベッドは限られ、市幹部は「いったん確保できても、他の病気の患者が入ることもあり、常に空床とはならず難しい」と苦労をにじませた。
市は最悪の場合、重症者数は約90人になるとの試算結果も示したが、市幹部は「あくまでも試算。病床を増やす努力はするが、予防策にも力を入れる。絶対に90床が必要だとは考えてない」とした。
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