兵庫県を含む全国の7都府県で、「緊急事態宣言」が7日にも発令される。外出自粛は爆発的な感染拡大を防ぐ一方、観光や飲食店、製造業など幅広い業種に影響し、地域経済を直撃することが予想される。期間は5月6日まで1カ月の方針だが、準備に追われる関係者らは見えない終息に不安を募らせた。(まとめ・末永陽子)
宣言の対象区域となった知事は、外出自粛要請に加え、学校や保育所、音楽イベントなど人が多く集まる場所の使用制限や停止について、要請だけでなく「指示」ができるようになる。
兵庫県の井戸敏三知事は「不要不急の外出や人口密集地との往来自粛」を最も強く要請したいとした上で、権限行使は「社会生活への影響を最小限にとどめたい」との考えだ。
兵庫が対象となった場合、県内一律に制限を求めるかどうかは「規制の内容が(発令の)エリア内で違っても構わないと理解している」とした。
緊急事態宣言には「法的根拠があり、お願い力が違う」と効果に期待。十数人の感染確認が続き、感染経路が特定できない患者が増える県内の現状を懸念しつつ「(まん延のラインは)20人以上が続く状態ではないか」と見解を示した。
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「ただでさえ客数が減っているのに」。元町映画館(神戸市中央区)の支配人、林未来さん(45)は嘆息する。
2、3月の入場者数は半減。4月は昨年の7割減と予測していたが、宣言でさらに落ち込むとみる。上映しなければ、スタッフに報酬を払えない。「宣言は仕方ないが、安心できる補償がなければ閉館の判断もままならない」と求めた。
西宮市の同市大谷記念美術館はすでに入場制限など対策していたが、越智裕二郎館長は「大阪方面からの来場も多く、休館せざるをえないだろう」とする。「5月の連休明けには開館できればいいが、いつまで続くのか」と声を落とした。
県立の美術館や博物館は、4月30日まで臨時休館中。県教育委員会の担当者は「宣言への対応は現時点では未定。具体的な内容が分からないと…」と戸惑った。
一方、緊急事態宣言が出ても、スーパーなどは原則営業を続ける。食料品は十分な供給量が確保されているとして、政府は消費者に買いだめや買い急ぎをしないよう呼びかけている。
「商品の在庫も多く確保している。8日以降、体制を増強したい」と話すのは、生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)の担当者。食品をはじめ生活必需品を扱っており、現時点で臨時休業や営業時間短縮の予定はないという。
神戸阪急(神戸市中央区)などを展開するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングの担当者は「(宣言の)内容を確認してから、どう対応するのかを判断することになる」と話した。
みなと銀行(神戸市中央区)は、宣言が出た場合も営業を続ける方針を示す。「地域金融機関として決済機能の確保や資金繰り相談に努める」としている。
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