小児がんと宣告され、闘病を続ける6歳の女児が奈良にいる。神戸の病院で先端治療を受け、昨年2月に退院したが、わずか半年後に再発。きつい副作用に耐え、命の瀬戸際で踏ん張っている。今の夢は、東京ディズニーランド(TDL)でキャラクターのミニーマウスに会うこと。だが同園は、新型コロナウイルス禍で休園が続く。このほど、神戸で同じ病室だった子どもたちが集まり、何とか夢をかなえさせてあげたいと女児を励ました。(霍見真一郎)
闘病するのは、奈良県上牧町の小学1年生池田羽音(はのん)さん。2018年6月、背中にピンポン球ほどの突起があるのに気付いた。大学病院で、「ユーイング肉腫」という骨に腫瘍ができる小児がんだと判明。すぐに抗がん剤治療を始め、腫瘍などを取る手術を受けた。そして同年10月、高度な治療を受けるため、神戸市中央区の兵庫県立こども病院に転院してきた。
こども病院では、同じ年頃で小児がんと闘う、神戸市や明石市に住む女児3人が同室に。全身麻酔で毎日陽子線を浴びる不安や、院内の限られた場所でしか遊べない思いなどを語り合ううち、姉妹のように打ち解けた。羽音さんが転院して奈良へ戻っても、受診で来神すると4人で集まった。
■半年で再発
両親によると、羽音さんは2歳ごろからディズニーが大好き。19年10月の誕生日に、TDLに行くのを楽しみにしていた。ところが、退院半年後の同年8月に再発。奈良で再入院した翌日、両親は羽音さんに命に関わる状態であると告げた。羽音さんは「お空に行くってこと?」と尋ねた。母亜紀奈さん(37)は「絶対元気になって、ディズニーランドに行こう」と約束したという。
その後も強い抗がん剤を大量に施す、過酷な治療が続く。今年2月末に退院し、病気との共存生活が始まった。通院で治療する中、5月19日には新たな腫瘍が判明。両親は何とか夢をかなえようと考えているが、TDLは現在も、再開のめどがたっていない。
■何とか早く
同じ病室だった3人の親子はその病状を知って連絡を取り合い、今月7日に奈良県の公園で羽音さんと4人で集まった。背中に全員の似顔絵を描いた手作りTシャツを着て、歌を歌ったり手遊びをしたりして過ごした。羽音さんの夢を応援する多くの声が寄せられていることを伝え、笑顔で別れた。明石市の女児(7)の母親は「入院生活でつらいこともあったが、羽音ちゃん親子の気丈な姿に救われた。応援したい」。
亜紀奈さんは「アトラクションに乗れなくても、園内を散歩するだけでもいい。何とか早く、羽音の夢をかなえたい」と話した。