新装に向けた解体工事が進む神戸市中央区のJR神戸線元町-神戸間の高架下にある「元町高架通商店街」(通称・モトコー)で、高架橋の柱に書かれた古い漢字があらわになった。記されていたのは、「隆昌洋行」など華僑の流れをくんだとみられる会社名。辺りに闇市があった戦後に書かれたとみられるが、経緯は不明。突如現れた昭和の“遺産”に、商店街の関係者は驚き、懐かしさも口にする。(辰巳直之、秋山亮太)
文字が書かれた柱があるのは「元高3番街」の南側。「隆昌洋行」や「南勢物産公司」と読める書体がある。中国語で会社や商社を意味する「公司」「洋行」が入った屋号のほか、「化粧品」「雑貨」「卸」などの文字も見られる。
同商店街は終戦直後、食料品などを販売した闇市が起源。中国人の行商人がまんじゅうを売ったことが発祥とされる。昭和50年代に高架下に店舗が建てられて、柱は長い間人目に触れなかったという。
元町高架通商店街振興組合によると、同組合の前身組織が設立したのは1946(昭和21)年で、当時の資料は残されていないという。同組合事務長の舩戸(ふなと)美恵子さん(69)は「戦後の混乱期、高架下に売り場を確保しようと、早い者勝ちのように書いたのでは」と推測。さらに「当時を知る人から様子を聞いたことがあったので、懐かしい気分」とも話す。
同商店街では、土地を所有するJR西日本が耐震化や防火対策などを目的に再整備を計画。同社は店舗に退去を求め、3番街と7番街で工事を進めている。