兵庫県宝塚市のいじめ自殺問題を巡り、当初調査を担当した第三者委員会は、一度まとめた報告書を3カ月後に改訂するなど、異例の経過をたどった。市長がメンバーを一新して設置した再調査委員会は、第三者委が公平性を意識するあまりに遺族との意思疎通に欠けたとし、「遺族が認識している事実に対する調査が足りなかった点が最大の問題だった」と指摘した。
第三者委の調査は2016年12月末に開始。18年7月に報告書をまとめたが、遺族から調査が不十分なことなどを指摘され、同年10月、いじめ自殺に対する心理学的な仮説を含む記述などを削除して改訂した。
ただ、いずれの報告書も非公開で、改訂の経緯や公表の可否についても、遺族の意向を十分に反映できなかった。遺族の代理人弁護士は「遺族が情報提供しているのに(第三者委は)『出されても困る』と突っぱねるような態度だった」とした。
再調査委の春日井委員長は「遺族に寄り添う視点が欠けていた。寄り添うことと公平公正であることは矛盾しない」とし、遺族への計6回の面談や意見聴取などを実施。「『遺族が希望した内容が全て反映されるわけではないが、調査のプロセスで遺族の気持ちを踏まえ、公平公正な調査をする』という点で遺族の理解が得られた」と説明した。
再調査報告書について、遺族の代理人弁護士は「いじめの具体的中身を知ることができ、娘と一緒にいる気持ちにさせてくれる、充実した内容と評価している」と述べた。(大盛周平)