新型コロナウイルスの影響で延期されていた特別展「驚異と怪異-モンスターたちは告げる」(神戸新聞社など主催)が23日、兵庫県姫路市本町の県立歴史博物館で開幕した。待ちわびていた妖怪ファンらが訪れ、国内外に伝わる異形の者たちの姿に見入った。(平松正子)
国立民族学博物館(大阪府吹田市)の所蔵資料を中心に245点を展示。人魚や竜、一角獣などの絵図や造形物が並び、ラテン語のモンストルム(警告、凶兆)を語源とするモンスター(怪物)の文化史的な意味について考える。
会場でひときわ目を引くのは、オランダ・ライデン国立民族学博物館所蔵の「人魚のミイラ」。江戸時代、長崎・出島の商館員が日本から持ち帰ったとされ、上半身は紙製の張り子という。同じく西洋で珍重された海の怪物「ジェニー・ハニバー」は、エイの干物を加工したものだ。
日本勢で存在感を示すのは、人間のような顔を持ち、吉凶を予言したとされる牛「件(くだん)」。はく製や詳細な記録もあり、こちらは実在したようだ。かっぱの頭やてんぐの面など、おなじみの妖怪も勢ぞろいしている。
疫病を払うとして人気の妖怪「アマビエ」は、京都大学付属図書館に唯一残る江戸後期の刷り物を展示。塗り絵や紙袋を無料配布しているほか、一緒に写真撮影できるパネルもある。
神戸市須磨区から訪れた主婦(45)は「ワヤンというインドネシアの影絵芝居が好きで見に来た。ほかの国にもワヤンに出てくるような怪物がいると分かり、興味深かった」と話していた。
8月16日まで、原則月曜休館。大人千円。県立歴史博物館TEL079・288・9011