■将棋の第61期王位戦の挑戦者に決まった 藤井聡太七段
「苦しい将棋も粘り強く指せたのが、結果につながりました」。第61期王位戦(神戸新聞社主催)の挑戦者決定戦で永瀬拓矢二冠(27)に快勝。予選トーナメント初戦から9カ月にわたる戦いを、そう振り返る。
幼稚園年中児のころ、祖母が買ってきた初心者向けの盤駒で将棋と出合った。プロ棋士が少ない東海地方で、早くから才能を見いだされ、地域に見守られながらすくすくと成長した。
2016年、史上5人目の中学生棋士としてプロ入り。いきなりの29連勝で歴代連勝記録を塗り替え、一躍時の人になった。その後も最年少での七段昇段、史上初の3年連続勝率8割超えなど、あまたの偉業を成し遂げてきた。
志が高く目先の記録にはこだわらないが、八大タイトルはずっと目標だった。これまであと一歩及ばなかった挑戦権獲得のハードルを、デビューから3年半でついに突破。今月8日からの棋聖戦で初めて挑戦者になった。今回、王位戦で二つ目の挑戦権を獲得し、高校3年にして、棋界トップ級の実力があると証明した。
王位戦7番勝負の相手は昨年、史上最年長で初タイトルを手にした木村一基王位(47)。「最年長」と「最年少」がぶつかるドラマチックなシリーズとして、ファンの熱視線を浴びそうだ。
「7番勝負はしっかり調整していい将棋を指したい。2日制は指したことがないが、じっくり考えられるのは楽しみです」。休む間もなく始まる戦いを前に、静かに闘志を燃やす。愛知県瀬戸市在住。