日活アクション映画やテレビドラマ「大都会」「西部警察」で知られた俳優の渡哲也(わたり・てつや、本名渡瀬道彦=わたせ・みちひこ)さんが10日午後6時30分、肺炎のため、東京都内の病院で死去した。78歳。淡路市出身。14日に家族葬を行った。故人の遺志により、お別れの会などは開かれない。
三田学園中学校・高校を卒業。青山学院大在学中に芸能界入りし、1965年に映画「あばれ騎士道」でデビュー。「無頼」シリーズで人気を博し、石原裕次郎さん、小林旭さん、宍戸錠さんに続くアクションスターとして売り出した。
吉永小百合さんと共演した映画「愛と死の記録」が評判を呼び、日活を離れた後も深作欣二監督の「仁義の墓場」で熱演。76年には「やくざの墓場 くちなしの花」でブルーリボン賞主演男優賞に選ばれている。
歌手としても73年、「くちなしの花」が大ヒットし、全日本有線放送大賞金賞を獲得。NHK紅白歌合戦に74年と93年に2回出場した。
テレビでは、刑事ドラマ「大都会」シリーズ(76~79年)や「西部警察」シリーズ(79~84年)で人気を集めた。角刈りにサングラスという姿がトレードマークとなった。
87年に石原さんが亡くなった後は、2011年まで石原プロモーションの社長として「石原軍団」を率い、阪神・淡路大震災や東日本大震災などでは所属タレントらとともに被災地で炊き出しを行った。
91年に直腸がんと告知されたが、手術後に復帰、映画「誘拐」(97年)などに出演し、精力的に活動を続けた。
2005年に紫綬褒章、13年に旭日小綬章。17年3月に弟で俳優の渡瀬恒彦さん=当時(72)=を亡くした。石原プロは来年1月で半世紀以上の歴史に終止符を打ち、俳優のマネジメント業務をやめて著作権管理などに専念することを先月発表していた。