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世界の有名店が横町スタイルで入居する飲食フロア=東京都渋谷区
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世界の有名店が横町スタイルで入居する飲食フロア=東京都渋谷区
コワーキングスペースのラウンジ。右は井上盛夫社長=東京都渋谷区
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コワーキングスペースのラウンジ。右は井上盛夫社長=東京都渋谷区

 新型コロナウイルス禍で、コワーキングスペース(共用オフィス)が再評価されている。米西海岸発祥で国内に第1号が開設されてから、今年でちょうど10年。全国で施設が増え続ける中、東京・渋谷区に7月、ミシュラン店など世界の美食を集めた施設が登場し、異色のビジネス拠点として注目されている。(西井由比子)

 世界各国の大使館が点在し、外国人が多く居住する多国籍な街、渋谷区・広尾。「EAT PLAY WORKS」は6階建て、延べ約1300平方メートルで、コンセプトはその名の通り、「食べて遊んで仕事して」。

 3~6階は米西海岸風の家具が備え付けられたおしゃれなコワーキングスペースとプライベートオフィスで、1、2階に国内外の17店が横町スタイルで入る。米ニューヨーク・ブルックリン発のミシュラン一つ星メキシコ料理店の「オショモコ」をはじめ、スペインの有名店出身のシェフが手掛けるバル、東京・銀座のすし店の新業態店など話題性たっぷりだ。

 手掛けるのは、日英で約50店の飲食店を展開するソルトグループ(東京)。コワーキングスペースは、大手不動産会社や外資系専業企業による運営が多く、飲食事業者が手掛ける例は珍しい。兵庫県西宮市出身の井上盛夫社長(53)は「人と人が仲良くなるには、食事が一番手っ取り早い。話題店の味を、何カ月先の予約ではなく、今すぐワンストップで楽しめたら仕事がはかどると思った」。

 井上社長自身、世界各地でコワーキングスペースを使い、ビジネスを生み出してきたといい「この場所に、がつんと胃袋をつかむ『食』があればもっといいのに」と感じていた。

 コロナの影響もあり、会員の受け入れはまだ制限しているが、入会希望は東京内外からあるという。「幅広い業種や年齢層を多国籍に集め、従来ないビジネスやプロジェクトを生み出すコミュニティーをつくっていきたい」

 千葉市内のグランピング施設とも提携。自然の中でのくつろぎの場も用意し、オン・オフの両面からビジネスをサポートする。

 コワーキングスペースの利用は月会費7万円、個室のオフィス利用(コワーキングスペースを含む)は3~8人で同30万円から。飲食フロアは非会員も利用できる。

■第1号は神戸10年前に開設/コワーキングスペース全国1000施設超

 コワーキングスペースは東京都など都市圏を中心に増加の一途をたどり、現在全国で千を超える(コワーキングジャパン調べ)。兵庫県内には神戸、阪神間を中心に43施設がある。

 国内の第1号は2010年5月、JR神戸駅近くのビルに開設された「カフーツ」。約80平方メートルの部屋に、長机と椅子、インターネット回線を備えたシンプルな設備ながら、フリーランスのIT関係者らに喜ばれたという。

 カフーツは現在、コロナ禍で閉鎖中。「開業10年の節目。イベントなどいろいろやりたかったが、うちは狭いので3密回避のためには仕方ない」と、開設者のウェブコンサルタント伊藤富雄さん(62)。「この機に新たなあり方を模索したい」

 コワーキングスペースの開設事業者は不動産会社や外資系企業のほか、自治体、まちづくり会社など多様化し、立地条件、セミナーやイベントなどのサービスを差別化することで利用者の幅を広げてきた。

 利用者もIT関係者や初期投資を抑えたい起業家、クリエーターといった個人事業主が多かったが、現在増えているのは会社員という。日本総合研究所(東京)の山田英司理事は「テレワークの浸透で、オフィスの賃料や従業員の交通費を削減できるメリットが注目された。今後もこの動きが加速するのではないか」と話している。

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