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不適切ケアの特養 人手不足の背景にパワハラか

2020/09/25 11:57

 神戸市灘区の特別養護老人ホーム「きしろ荘」で不適切なケアが繰り返されていた問題で、無資格者の職員による医療行為「胃ろう」が約2千回に及ぶことが関係者への取材で分かった。慢性的な人手不足が背景要因の一つとみられ、施設関係者は「法人役員のパワハラで職員の退職が相次いでいる」と指摘している。

 「胃ろう」は口から食べ物を採れない入所者に対し、チューブで栄養や薬を補給する処置。きしろ荘では昨春まで看護職員が担当していたが、退職に伴い資格のない施設長が今年8月ごろまで続けていた。今春までは日常的に繰り返され、複数の入所者に対し、延べ約2千回にも及ぶという。

 施設を運営する社会福祉法人「六甲鶴寿園」(岸本圭子理事長)では役員による長時間の叱責が頻繁にあり、職員や元職員らからパワハラを指摘する声が上がっている。「胃ろう」をした施設長も「人手不足を理事長らに言い出せなかった」としている。

 同施設では「胃ろう」のほか、無資格者によるたん吸引や、週に2回の基準を下回る入所者の入浴、ケアプランの未作成などが明らかになっている。(中部 剛、上杉順子)

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