兵庫県明石市内のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「シルバーハウスはやしの南」で女性職員による入居者への虐待行為が発覚した問題で、明石市は19日、緊急会見を開き、泉房穂市長が経緯などの説明に追われた。泉市長は「再発防止策を早急に講じたい」と強調する一方、「特別養護老人ホームなどが足りず、本来は自立した高齢者を前提とする施設のサ高住で、要介護者が暮らさざるを得ない現状も問題」と述べ、対応の難しさをにじませた。
同市によると、9月23日に施設の管理責任者から「職員による入居者への虐待があった」と連絡が入った。市は30日、10月7、14日と計3回、施設職員や入居者から聴き取り調査などを重ね、虐待行為を確認した。
泉市長は会見で「サ高住だけでなく、福祉施設に広く網をかけ、こうしたことがないように指導、監督していく」と強調。他方、市の担当者は「サ高住はあくまで住居であり、市は登録を受けるだけ。介護サービスを提供する施設のように指導監査の対象ではなく、目が行き届きにくい面がある」と明かし、住居と医療介護の縦割りのはざまに置かれたサ高住の課題を挙げる。
施設関係者によると、女性職員は介護福祉士の資格を持ち、同施設で約1年間、夜間専門の管理人として入居者の安否確認などをするために午後4時~翌朝の午前9時まで、月に10日ほど泊まり勤務をしていた。
同施設の管理者の男性(51)は取材に対し、「入居者の家族や本人に申し訳ない。勤務態勢などで(女性職員の)いらいらが募ってしまったということなら勤務態勢も考え直し、できることはしていく」と話した。(小西隆久、川崎恵莉子)