神戸新聞社が情報公開請求した2019年度の教員体罰報告書には、複数の児童生徒がいる前で起きた数多くの体罰が具体的に書かれており、中には集団を意図的にまとめようとした「見せしめ」のようなケースもあった。また指導の一環と勘違いしたり、「思わず手が」「当時の記憶がない」などと感情的になったりした事例も少なくない。
「くず、ぶっころす、死んどけ、しばく、殺す」
兵庫県姫路市の県立高校柔道部の50代男性顧問は練習中、部員にそんな暴言を浴びせ、複数の部員に殴るなどの暴行を繰り返していた。
見せしめ的な体罰について学校は「(柔道は)気持ちが緩むとけがの可能性がある」との見解も示した。熱心な指導に生徒や保護者から感謝の声もあったという。しかし、不満を持つ生徒らが集団で家出をして発覚。顧問は停職3カ月の懲戒処分とされた。
川西市立中学校サッカー部の30代男性顧問も意図的だったとみられる。部員全員を教室に呼び出した上で、1人を叱責(しっせき)して胸ぐらをつかみ、体を黒板に押しつけた。全員の前で体罰をしたのは被害生徒の非行を巡り「全体に規範意識と集団への所属意識を高めたいと考えた」としている。
許容範囲内とみて誤った指導をしたような事例も。三田市立中学校の40代男性教員は、忘れ物をした男子生徒に注意する際、教科書の一部分を額に押しつけた。顧問を務めるサッカー部の部員として日頃から親しくしており、指導に納得していると判断していた。
神戸市立小学校の40代女性教員も、あいさつの号令がかけられない児童を見て、発言力をつけようと「今日はちゃんと言えるまで終わりません」と指示。クラス全員を約1時間も立たせたままにしてしまい、不適切とされて謝罪した。
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一方で、怒りを制御できなかったような例も目立つ。姫路市立小学校の40代男性教員は授業中、机を片付けるという指示に従わない児童のいすを何度も蹴り、反抗されたと感じると教室の前に連れ出そうとして、後ろから腰を蹴った。
「一人一人が気を付けていこう」。全員に向かって告げたが、体罰と言うには程度が軽いと考えて管理職に報告せず、保護者からの相談で表面化した。
これに対し、丹波市立小学校の40代女性教員は自身で申告。ホームルームが始まる時間に複数の男児がトイレで遊んでいるのを見て感情が高ぶり、1人の頭をたたいた。「ごめんなさい」と言われてわれに返り、痛みがないかなどを確認して教頭に伝えた。(名倉あかり、喜田美咲)
■手本になる先生見つけて 教員経験のある弁護士で兵庫教育大学大学院准教授の神内聡(あきら)さん(42)の話
「子どもたちの面前で体罰をするのは多くの場合、暴力を見せつけるというより、大勢の前で指導力を問われる中で冷静さを欠いてしまうからだ。体罰をしても集団の統制が取れると成功体験となり、それを支持する保護者も少なからずいる。教員はそれぞれに自己流で指導する人が多いが、怒りをコントロールし、暴力に頼らずに指導できる先生を身近に見つけて学ぶ姿勢が大切だ」











