神戸製鋼所が神戸市灘区で進める石炭火力発電所増設計画を巡って、環境影響評価(アセスメント)の手続きに違法性があるなどとして、周辺住民ら12人が起こしている行政訴訟の口頭弁論が4日、大阪地裁(森鍵一裁判長)であった。ぜんそくの長女を持つ原告住民の本人尋問があり、「娘のつらい様子を一番近いところで見てきた。子どもたちの将来に関わる問題だと認識してほしい」と訴えた。
原告の女性(38)は同区在住で、6年前、当時5歳だった長女がぜんそくを発症。長女は同発電所から約1キロ北の幼稚園に通っていたが、症状がひどくなることから「『こんこん』が出るから行きたくない」と通園を嫌がることもあったという。
せきが出ると吐き戻すまで止まらないこともあり、夜は座ったまま寝かせたことも。卒園後は症状がやや落ち着いたものの、「安全で住みやすいまちをつくることが重要。いてもたってもいられなかった」と、11歳となった長女とともに訴訟に加わった動機について語った。
訴訟は来年1月20日に結審する予定で、早ければ来年春ごろにも判決が出される見通し。